劣情王〜クラスメイトと共に異世界に連れて来られた俺は、《スキル》【劣情王】を手に入れた後城から追放されたけど、見張りとして共にいる女騎士と共に異世界を冒険します〜
赤アカ クロ
プロローグ
とんでもない《スキル》
「おぉ、よくぞ集まった。勇者の可能性を秘めた者達よ!!」
祭壇の上で、王様?ぽい年寄りが口を開く、王様の近くには多くの兵士っぽい人達が大勢いて、凄い迫力を感じた。
「おい急に何だ!?」
「おいどこだよここは!!」
「私達教室にいたよね?」
「ねぇ何がどうなってるの!?」
俺の周りには同い年の男女が軽く30人はいて、その中の一人は何やら小声でぶつぶつ呟いている。
「これはもしや…いや絶対そうだ…」
何かに気づいたのか、呟いていた男子は、みんなに聞こえるよう大きな声で叫んだ。
「みんな、俺たちは"異世界転移"したかもしれない!!」
「はぁ、お前何言ってんだよ?」
「そうよ、頭大丈夫?」
異世界転移、漫画や小説などを読んでいるとたまに聞く言葉だ。
たしか日常を過ごしていた主人公が突然異世界に転移され、そこの国の王から「この世界を救ってほしい」と頼まれて、主人公は世界を救うために異世界を旅するのだ。
まぁ……俺の知る限りだが、最近の主人公は【無能】とか、勇者と
クラスのみんなが未だ混乱してる中、王様っぽい人が再び口を開いた。
「お主達が混乱するのもわかる。しかし我が国は滅びを迎えようとしているため、お主達にそれを阻止して欲しいのだ」
「いや何で俺たちがそんなことしなきゃいけないんだよ!!元の世界に返せ!!」
一人の男子がブチギレて王様に暴言を吐いた。
普通に考えれば「そりゃそうだ」と誰もが思う。
いきなり転移で強制的に連れて来られた挙句、突然"国を救う"的なことを言われても、納得できるはずがない、そんな中、一人の男子が王様にある質問をした。
「あの〜ところで、滅びを阻止するってことは、もしかして《スキル》とか【魔法】とか貰えるのでしょうか…?」
いや、いくら異世界に転移されたとは言え、そんな都合よく《スキル》やら【魔法】やらが使えるわけ──。
「あぁ、もちろんお主達に《スキル》を与えた上で、国を滅びから救ってほしいと考えてある」
いやあるのかよ《スキル》!!、そう思っていると、男子数人が急に興奮したかのように話し始めた。
「おっ、てことはチート《スキル》とか貰えるのかな?」
「マジで!?なら俺は無双できる《スキル》とかほしいな〜」
「いやそこは異世界ハーレムできそうな《スキル》を……」
えーと、何か盛り上がっているけど、君らアレだよ?例えるなら誘拐、誘拐された身だよ?
そんなに盛り上がってて大丈夫か、この人達……。
「お主達の気持ちは我々とてわからないわけではない、しかしワシは国の王として、何としてでも国を救わなければならんのだ」
いや、なら今この国がどうなってるのか話してもらわないとダメなんだけど、流石に無理かな?俺だけかな?疑問に感じてるのは……。
そう思っていると、何やら王様の側近みたいな人が何か六角形の大きな石を運んできた。
「この石は【《スキル》測定石(そくていせき)】と言ってな、どう言う理屈かはワシも知らないが、触れた者に《スキル》を与えてくれる不思議な石じゃ、ワシは怖くて一度も触れたことないが」
じゃあそれ【《スキル》獲得石(かくとくせき)】だろ名前、測定要素どこだよ。
てか、え?王様ですらわかってない石で《スキル》が使えるの?
てか"怖くて触れたことない"ってなに?
いやいちいち考えてたらダメだな多分、ここは流れに身を任せよう。
こうして、皆(みな)が交互に《スキル》をゲットしていく。
「どうだった?」
「俺【剣撃(けんげき)無限斬(むげんざん)】って《スキル》貰ったは」
「なにその強そうな《スキル》」
「あっ、私【獣(けもの)服従化(ふくじゅうか)】だって、ウルフとかドラゴンとかペットにできるのかな?」
「いやドラゴンは獣じゃなくて……」
話を聞いてる限り、男女それぞれ盛り上がってる。
クラスの人達がそれぞれ《スキル》を貰う。
「では次、そこのお主こちらに来なさい」
あっ、とうとう呼ばれた。
王様に言われ、【《スキル》測定石(そくていせき)】に手を触れると、石は虹色に輝き出し、俺に《スキル》を与えてくれた。
「えーとお主の《スキル》は……【劣情王(れつじょうおう)】じゃな」
俺は【劣情王(れつじょうおう)】か、ん?
俺は《スキル》を貰いクラスの中に戻っていく、そして全員が《スキル》を与えられたその瞬間、王様が口を開いた。
「ではお主達に《スキル》の確認方法を伝えよう。その場で「《スキル》オープン!!」と叫ぶのじゃ、そうすれば目の前に《スキル》の説明欄が出現する」
いやおかしいだろその確認方法、いやこの国だと普通か?
とりあえず俺も気になるし、《スキル》を確認するか……。
「《スキル》オープン」
言われた通りの言葉を言うと、本当に目の前に【劣情王(れつじょうおう)】の説明欄が出現した。
まさか本当に出るとは思わなかった。
「えーと?」
俺は【劣情王(れつじょうおう)】の《スキル》が何なのか確認した。
「え、これは──」
【劣情王(れつじょうおう)】の説明欄を見て、俺は焦った。
《スキル》【劣情王(れつじょうおう)】
『左手で触れた者の性的な欲望、または好奇心を強制的に向上させる。そして触れた相手が女またはメスだった場合、その者を"性的奴隷"として強制的に従わせ、扱うことができる。そして《スキル》を使われた者が他の人間に触れられた場合、《スキル》所有者以外は警戒者とみなされ、膨大な拒絶反応を引き起こす。そして《スキル》解除は、《スキル》所有者以外は"絶対"解除させることができない』
「……」
あー……、これ完全に性犯罪向けの《スキル》ですねはい、てか女またはメス限定の"性的奴隷"ってなんだよ!!
そこは男とオスも入れるべきじゃない!?
まぁ説明欄は多分自分しか見れないから周りにバレることは無いかもしれない。
「ちなみに《スキル》説明欄は、表示されれば他の人間にも見られるから、場所を選んだ方がええぞ」
はい知ってたー。
つーかそれ先に言えよ王様!!何で《スキル》オープンさせた後に言うの!?
そんなことを考えていると、突然近くの男子が叫び出した。
「うわーお前の《スキル》やっば、女とメスを強制的に性的奴隷にさせるとかハーレム作り放題じゃん!!」
「ちょっ!!」
ヤバいと思い止めようとしたが、時すでに遅かった。
「性的奴隷ってやばくない?」
「私狙われるかも……」
「おい女子全員そいつから離れろ!!」
「あいつ絶対エロいことに使うよ」
すでにクラスの人達から警戒され、早くも俺はみんなから
「いや俺は──」
咄嗟に何か言おうとしたその時、クラスメイトの一人が俺に近づいてきた。
「なぁ、とりあえず今後俺たちに近づいてくるの禁止な、その《スキル》持った人間を簡単に信用とかできないし、それに万が一何かしようとしたら容赦なく殺すから」
「えっ……」
殺すとまで言われ、俺は心に深い傷を負った。
流石にそこまで言う?
そんなことを思っていると、王様が俺に向かって口を開いた。
「とりあえず、お主この城から追放じゃ」
「え?」
いきなりの追放宣言をされた。
「しかしじゃ、このまま外に放り出せば何をするかわからん、そこでお主に提案なんじゃが……」
王様がそう言うと、一人の女騎士がこちらに近づいてきた。
「しばらくお主の近くに彼女を見張らせておく、その者は我が国ではかなりの実力者じゃ、《スキル》を使おうとすればすぐ殺されるから覚悟するが良い」
「え?」
「あとこちらでお主の住む家を用意しておく、まぁあくまで監視する為の住処じゃ、家から出る場合は必ず彼女と共に行動するように」
「…えっと」
「この扱いは私もどうかと思うが、他の者と一緒に行動させては常に警戒させてしまう、なのでどうか許してほしい」
「あっ…まぁ……はい」
「とりあえず今日はお主だけ別の部屋を用意させる。明日の朝になったら城から直ちに出ていくように、良いな」
「……」
よくわからんが、俺は明日城から追い出されるらしい、それはそうと、割と王様が優しいのが意外だった。
普通はすぐ城から追い出すと思っていたけど、この王様かなり良い人なのでは?
俺の中で、王様の好感度が上がった。
「それでは今からお主達が生活するための部屋に案内する。兵士達よ!!彼らの誘導を開始せよ!!」
「「はっ!!」」
兵士達の誘導で、俺達はそれぞれ別々の部屋に連れて行かれた。
俺は見張り役?の女騎士と共に、皆(みな)のいる部屋からだいぶ離れた場所へと連れて行かれた。
「今日はここに泊まると良い、ちなみに住む家は明日の朝には用意されてるはずだ」
「はぁ…」
俺は用意された部屋に入る。
中は思ったより綺麗で、ベットは飛びつきたいほどふかふかなのが見ててわかった。
「私は外にいるから、用があるなら部屋の中から話しかけるといい」
「あっ、わかりました」
「……」
女騎士が扉を閉めようとドアノブを掴んだ。
しかしなぜか途中で閉めるのを止(や)めてしまった。
「?、どうかしましたか?」
「……」
俺が不思議に思っていると、女騎士は意外なことを口にした。
「…すまなかったな」
「え?」
突然謝ってきた。
「本当なら、国の問題は我々だけの問題だ。そこに異世界の人々を巻き込んでしまった。その上お前だけこのような扱い、一人の騎士として謝罪したい」
そう言って、女騎士は頭を深く下げようとした。
「ちょ、ちょっと待った!!」
俺はすぐに女騎士の謝罪を止めさせた。
「別に、謝る必要は無いと思います」
「え…?」
俺の言ってる事に、女騎士は疑問を感じた。
そんな相手に、俺は続けて言う。
「異世界の人に助けを求めなければならないほど、つらい状況なんですよね?なら……あなた達のやり方を批判する権利はこちらにはありません」
「し、しかし!!」
女騎士は、俺の言ってる事に納得ができないのか、訴えるように声を上げた。
正確には、"自分が批判されない"ことに納得してないのかもしれない。
「お前は怖くないのか…?突然異世界に連れて来られ、下手をすれば……お前は死ぬ事になるんだぞ、知らない土地、知らない場所で!!」
「その時は!!」
大きい声で言ってくる相手に対し、俺も大きな声で対応した。
「その時は、あなたが俺を助けてくれませんか?自分が死なないよう、そのための
「──ッ、気づいてたのか?」
「まぁ…」
王様は言った。"《スキル》を使おうとすれば殺される"と、しかし……それならなぜ、わざわざ"女騎士"を選んだ?
この場合、"男の騎士"を選ぶのが普通だ。
その方が
「俺は、王様もあなたも、悪い人間だと思ってません、まぁ……クラスのみんながどう思ってるのかは流石にわかりませんが……」
「……フフッ」
苦笑いしながら言う俺に対し、女騎士は少し笑いながら言った。
「あなたは、不思議な人だな」
「え?そうですか…?」
「あぁ、無理やり巻き込んでしまった相手から、そんな言葉を言われるとは思わなかった」
「そうなんですね」
「……」
女騎士は、俺に右手を差し出してきた。
「私と握手してくれないか?」
「握手……ですか?」
「あぁ」
「……」
俺は女騎士に右手を差し出して、彼女の手を握った。
「良いのか?《スキル》を使わなくて、今なら私を
「えっ、いや流石に使いませんよ!!てかやりませんから!!」
突然の言葉に、俺は強く反論した。
そんな俺を見て、女騎士は少しクスッと笑った。
「ははは、冗談だ。私は騎士団を従えてるリーダー、ユリアン・アリアレス、気軽にユリアンと読んでくれ、あと良ければ、君の名前を聞かせてくれ」
「はい、俺の名前は──」
俺はユリアンに、自分の名前を伝えた。
「春兎(はると)、轟(とどろき)春兎(はると)です」
「ハルト…… ハルトか、これからよろしくな」
ユリアンは俺の手を強く握り返す。
「……よろしくお願いします。ユリアンさん」
こうして異世界に連れて来られた俺は、ユリアンと言う人と知り合いになり、これから一緒に暮らす……同居人?となった。
クラスの人達から離れる事になったけど、ユリアンさんが一緒なら大丈夫だろう。俺はそう思った。
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