HIDDEN GIFT

虎野リヒト

第1話 プロローグ

最後に見えたのは、燃え行く炎の先にいる弟の姿だった。

最後に聞いたのは、燃え行く炎の先にいる弟の声だった。

最後に発したのは、燃え行く炎の先にいる弟への声だった。

そして、残ったのはこの世への未練のみ。

「んんんーん」

何故だろう。

俺はなんで考えることができているんだ。それに何故か意識がある....。

「おおーーー、やっと起きた」

暗闇の中で、俺の耳に届くはずのない女の声が聞こえた。

俺はすでに死んでいるはずなのになんでだ。

「誰だ......」

俺は恐る恐る目を開けた。そこは爆発によって、焼け焦げたであろう廃墟。おそらく俺が最後にいた場所だろう。その焼け焦げた風景に似合わない女が立っていた。おそらく12、3程度に見える。

「僕が起こしてあげたんだよ〜」

「どういうことだ!俺は死んだはず....」

「これが僕のギフト」

「ギフトだと!!」

俺は彼女に言葉に驚いた。知る人ぞ知るような言葉を彼女のようなまだ幼子が使っているからだ

「そうそう。あなたも持ってるでしょ。あなたという支配者とあなたのギフトが必要だったから起こしてあげたの〜」

俺が支配者だと......。

彼女の突拍子のないことに言葉が出なかった。

「俺はそんなものになるつもりはない」

彼女は不敵な笑みを浮かべながら近づいてきて一枚の写真を見せてきた。

「こいつは........」

「やる気になった?」

「ああ」

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