先生の箱

黒墨須藤

第1話

箱とはなんだろうか。


一般的に箱とは、物を入れるための容器の一種。

金属、木や合板、プラスチック、その他の材料で作られた、方形または多角形の面で構成された容器。

物を入れた時、容器が一定の形状を保持できるものが箱、形状が変化するものを袋と呼ぶ。


箱はみんな大好きだ。

物を運んだり、収納したりするのに便利だから。

構造的に積み重ねることに向くし、隙間なく積むことが出来る。


自由であれ。


自由はみんな好きだ。

でもこうして箱が好きなのに、どうして自由がいいんだろう。

形が決まっている箱の方が便利だし、納まりがいいじゃない。


先生。


先生は箱を嫌っていた。

口ではずっと箱を嫌っていた。


でも知ってるの。

先生は箱が大好き。

だって先生はずっと研究室から帰らないもの。

だって先生はとっても偉くて敬われているもの。

だって先生はすごく気持ちがいいって言ってくれるもの。


ね、先生。


でもそこまで先生が言うなら、手伝ってあげる。

いつもみたいに。

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