【まねしてみた】キャラクターを置き換えて練習します。

こわき すすむ

第1話


朝目覚めたら、左手が朱く光った。



色だけじゃない。


熱もある。


まるで皮膚にカイロが付いた感じ。



「なにこれ……」



ベッドの上でぼやいた。



昨日の通学時に柄の悪いサラリーマンとぶつかったのを思い出す。


サラリーマンの説教。


そのあと流石に見ていられなかったのか助け舟があった。



正直、どんな人だったか・・・。

いや……覚えていることがある。


同じ制服の美少女、カッコいい人だった。


いやいや、背負い投げしてたよ。こわいよ。

それでよろけて擦りむいたっけ。



とはいえ今のところ痛みはないし、※手などの病気を調べる。とくに心配される様子もない。


片手が朱いからかちょっと混乱……それだけ。



むしろ体調は昨日よりずっと良好だな。


大して傷が深いわけでもないので、気にしない。


とりあえずベッドから抜け出して、洗面所へ。

そして浴室でシャワーを浴びる。


で、壁にある鏡を見た。



「…………」



笑顔が抜け落ちた顔。


サクラ、16歳。


いつものわたしだ。



で、手だけど。


傷痕が赤く光った。


出血とかじゃない。真っ赤に光っている。


ヤバい。



「異能に目覚めた…とか?」



明らかに手に異常をきたしている。


多分ウイルスにやられたとか。


だけど傷痕を光らせることなんて、出来るの?



というか、これ……まるで『地獄先生ユーベー』みたい。


漫画とかアニメに出てくる、アレね。



妖しく片手が光る16歳の陰キャ女子、爆誕。


鏡の前でポーズする。



痛い。

いや、絵図が。



冗談はさておき。



実際のところ、これは大丈夫なはず。


別に不自由はない。

ただ光るだけだし。

ほっといたら消える…かも。





とはいえ、これはこれで目立つよ。


平日の駅は人の目があるから怪しまれる。


朝7時半から8時半まで、通学。

ちょうどラッシュアワーの時間帯だよ。



「・・・・・・」



悩んでいても仕方がない。


朝の時間はやたら早いしね。


わたしは急いで顔を洗い、ブラシで寝ぐせを直し、紺のセーラー服に腕を通した。


それから部屋の引き出しから手袋を引っ張り出す。


何年か前に買ったのが入っているはず。



「あー、あった」



目当てのモノを探り当て装着する。


これで、大丈夫…なはず。



「よし、」



ふと気づき時計を見れば、すでに7時を回っていた。



手自体には痛みも違和感もない。


とにかく体調だけはいつも通り。


教室に着くまで…ね。


うん…




※※※




その時のわたしは気づいてなかった。


この体の異変によって、わたしの人生が大きく変わることになるなんて。

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