かくれんぼしましょう?
天羽隼人
第1話
液体をかき混ぜる音や、ものすごく硬いものを断ち切るような音、そして、誰かの聞こえなくなった悲鳴…。
「今日は、このへんで切り上げるか!はぁーぁ。楽しい時間ってあっという間だなー?こう、時間が止まるような魔法ないかなー?もしくは、僕の好きなことがいつまでもできる空間が欲しいなー。ねぇ!きみもそう思うでしょ?」
少年は、頭から下がない少女に向かって話しかけた。
ここは、中世ヨーロッパに似た町並みだが、全くの別世界。だからといって、魔法や人間以外の生物がいるなどといった世界ではなく、ただ、一人の少年が願ったことにより全てが変わった世界。
この少年シンの最初の記憶は、暗い部屋の中から始まる。母であろう人物から「かくれんぼよ?見つからないようにしてね?」と言われた記憶とともに、生きてきた。だがその部屋に光源と呼べるものはなく、あまつさえ、食べ物もなかった。どうやってそれまで生きてきたかも不明だった。ただ一つ言えるのは、シンが、普通の子供ではなかったということだ。当時5歳にも満たない子供だったシンの周りにあったものといえば、人の死体だった。ここまで言えば察しがつくかと思う。
「そーだ!この街の人間みんな殺しちゃおう!そーすれば、僕がどこで何をしようが、誰も文句言わないし、迷惑かけないもんね?僕って冴えてる!」
はじめは飢えを凌ぐため、シンの存在を知ったものを排除する為だった殺人が今では享楽になっている。それでも、あの約束だけは守り続けている。いつか、母とのかくれんぼが終わることを信じて。
(まずいな…。長居しすぎたかな?人が集まってきた。これ以上増えないうちに、さっさと帰ろう!帰ったら、さっきの、計画をたてなきゃね?)
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