箱に思いを詰めます―どうしても伝えたい言葉

MERO

箱に思いを詰めます

 最後の時間ですよ。

 この箱の中に思いの丈を詰め込みましょう。


 この前、お会いしたときには忙しいそうでしたね。やっぱり繁忙期が近いからなのかなと思ってました(とある場所のA)


 飲み会、お疲れ様でした!

 そちらのテーブルは盛り上がってましたけどこちらは個人個人で話しました。そちらで一緒に盛り上がりたかったです(とある場所のB)


 あなた、何か優しいわね、どうしたの。え? 最近のこのドラマみてってみてるわよ、その話、この前もしてたわよ(妻)


 お父さん、あんまり話さないけどいつもお母さんと私の喧嘩になんとなく仲裁してくれてありがとう。お母さんからの注意にお父さんが黙っていながら後で私にお母さんの取り扱い方を説明してくれてだいぶ気が楽になったよ(娘)


 故郷が同じで趣味も一緒でツーリングしてました。悩みと無縁の人でしたね、お酒を飲まないのに酒の場は好きで家庭の話を面白おかしく話してましたね(友達)


 膝の上に乗ったらいつも優しくしてくれて、餌をくれる御主人様。(飼い猫C)


 いつもCがいるからなかなかいけないから私はCがいない朝を狙ってる。でもスーツだから膝の上に乗れなくてエサだけもらう。休日はすぐそこ(飼い猫D)


 仕事中は嫌味たっぷりの指摘がひどくて、この上司はと思ってました、はい。ただ仕事以外では人に気配り上手で自分を下げて場を盛り上げるのが上手でしたね。年末に『人生には楽しいことがたくさんあるから時間がいくらあっても足りないよ。限りある時間に何をやって何を諦めるのか、選択が必要だよ』とおっしゃってくださったこと忘れません。『とりあえず、この3つのサブスクに登録してみて。すごく楽しいよ。私はもう人生が終わるまで見るもの決まってるので』という言葉が印象的でした(後輩E)


 正直、誰もこんなに早くそっちに逝くなんて思ってないですよ。何があったんですか。名前も見間違えたのかと思いました。


 後輩E以外はほとんど勝手な妄想で書いてます。すみません。だって早すぎるんですよ、ほんとうに。

 何があったかと皆、驚いていますよ。

 まだ信じられていなくて夢見てるみたいです。エイプリルフールには早すぎます。


 箱には皆の思いが詰められて閉じられます。


 さようなら、またいつか。


――――――

 これは先輩に向けたお悔やみの言葉です。いつか削除するかもしれませんが、ここに記させてください。

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