白くて透明でまだ純粋な君へ。

なゆお

君との出会い

あの秋。

私は貴方にあった。

涼しさと寒さが交わるその季節の変わり目で、

私は、貴方の事を本気で思っていたのに。



【君との出会い】


─9月16日。

「好きです!付き合ってください!」

「…ごめん」


そんな日常的になってきたシーンを見て、私はため息をついてしまう。

すると彼がこっちに来て私を見て、

「いたのか」

と呟き、歩いて行った。


私は彼の言葉を聞こえていないかのように無視し、振られた彼女の元へ行く。


「大丈夫?」


「あぁ、樺乃かの。大丈夫」


「でも、顔が酷い事になってるよ」


「女の子にそんな事言うもんじゃないよ」


「本当にそんな感じの顔だし…。元の顔より酷いよ」


「…」


優奈ゆな?どうし…グフっ!」

すると優菜に思いっきり頭突きされた。



─数分後。保健室にて。

「落ち着いた?」


「うん…」


私は頭突きされた腕を冷しながら聞いた。

「嘘コクとはいえ、結構傷つくね…」


「そうなんだ…。って、えっ?嘘コク?」


「ん?知ってなかったの?あれ、嘘コクなんだよ」


「いやいやいやいや…、何で嘘コクなんて…」


「知らない?最近、私が告白した、雪賀谷白斗せつがや はくとって人がモテてて、告白されるんだけど全部断ってるの。だから誰なら付き合うんだろうって皆が少しの希望を持って告白して確かめてるの。まぁ、私の場合、罰ゲームでやつただけなんだけど」


「知らなかった…。でも、そんなのやる必要無くない?それでもし付き合ったら困るでしょ」


「何で?」


「何でって、好きでも無い人に告白して付き合うって…」


「はぁ…。話、聞いてた?白斗君が皆にモテてるから皆が告白してもし自分が付き合える人ならって夢いっぱいの希望を持って絶望を味わう人が続出してるって」


「つまり、告白してるのはあくまで、白斗って人の事が好きな人で、その好きな人が多すぎてそんな話が広まってるってことね」


「そゆこと。でも良かった〜、私と付き合わなくて」


「でもその割に、悲しんでたような…」


「その時は、罰ゲーム出してきた人がいたからね…必死の演技をしたんだよ。でも、そんなに続けれる程、器用じゃないから樺乃があんな事言ってくれて良かったよ」


そう優奈は言うが、私の冷やしている腕を見せて言った。


「でも、さすがにこれは無いじゃん」


「本気の言葉の暴力をされたら、暴力したくなって」


「女の子が言うセリフじゃないよ」


「大丈夫。もう女の子に言っちゃダメな言葉言われてるから」


「ごめんって」

「私もごめん」


私たちは顔を見合わせ笑った。


9月22日。

私は図書委員会の仕事をしていた。

といっても本を読んでいたが。


「本読んで無いで、仕事しろ」


と言われてしまう。


「ちょっと待って。今良い所だから」


「はぁ…。早くしないと仕事2倍にするぞ」


「それは良くない!」


といきよいよく本を閉じた。


「せめて栞挟んで閉じろよ」


「あっ」


盲点だった…!

私は急いでさっき読んでいたページを探す。


「そんなの良いから、早く仕事しろ。それとも、やっぱり2倍がいいのか?」


「是非ともやらせていただきます」


ん?そういえば、この人と親しく話しているが、誰だろう?そうして、顔をまともに見たら…。


「雪賀谷 白斗…」


「何で俺の名前…。いや、知ってるか。お前、あそこにいたもんな。あいつは友達か?」


「…そうだよ。でも、嘘コクだってよ」


「そうなのか?初めて知ったな」


「そうだろうね。だって誰かに罰ゲーム言われたらしいし、演技するしかなかったんだよ」


「…クソだなそいつら」


「人に向かってそんな事言うんじゃありません」


「だって、そうだろ」


「そうでも、それが人と人を繋ぐ「絆」何だからしょうがないよ」


「そんなの…「絆」とは言わない…!」


「でも、」


私はため息を吐きながら冷淡に言う。この素晴らしいくらいに絶望しかないこの世界の現実を。


「でも、1人が嫌だから。誰かに必要とされたいから。人間という生物はなんでもするんだ。それがどんなに悪いことでも、誰かに見られたいっていう欲望の為に動くの」


「…」


黙ってしまった。何かを考えているようだが、私は手を叩き、


「ほら、仕事、仕事。しなきゃいけないんでしょ。早く終わらせて本読みたいから手伝ってよね」


と言った。それに賛同するように静かに頷き、仕事を早く終わらせるのであった。


9月25日。

休日にも委員会なんて…。どれだけ図書委員はブラックなんだ。

でも、本が好きだしやりがいあるし、良いんだけど。


「ん?」


何か落ちている。


「これは、手帳…?」


誰かが落としていったのだろう。

だが、汚れていないので、落としたばかりだと推測する。

しかも今は学校の敷地内なのできっと生徒が落としていったに違いない。

しかも、運動部も先生もいないので、結構絞られるはずだ。

1人ずつ聞けば必ず当たるはずだ。


「よし。探そう」


白斗君には悪いけど仕事をやって貰うしかない。

頭の中で「あいつ…仕事2倍にしてやる」

と言っている白斗君を想像してゾッとしたが。


閑話休題。

中身を見ればいい。そう思うだろうが人のプライバシーには踏み込まないのが私なのだ。


「ねぇこれ落としたりとかしなかった?」


「いや…」


「そう…。ありがとう」


「あの…職員室に届けたらどうですか?」


「いや、今日落とした物みたいだし。それに、今日来てる人少ないみたいだし、それに自分で探したいんだ」


「そう…分かりました。頑張ってくださいね」


「うん…。ありがとう」



そうして私は1人1人に聞いて、その度に背中を押して貰った。やはり、いい事をすると、いい言葉をかけてくれるものだ。


ただ、それが私に届いているとは限らないが。



「結局これを持っている人見つからなかったなぁ…」


そう言いながら図書室へ行く。仕事は終わっているかな?


「おい…」


「ひぃ!」


するととても怒った様子の白斗君が。


「お前、ずっと何していた…?」


「え、えっとぉ…。あ、し、仕事。仕事は?」


「俺の分もお前に押し付けた」


「くっ…!」


私の休日が…!こんなことで終わってしまうなんて…!


「で?何していたんだ」


「あっ、」


私は聞いてない人が1人いた。


「これ落ちてたみたいで。ずっと誰の物か探していたんだけど、もしかして白斗君の?」


「…!?」


すると白斗君は驚いたような苦しそうな顔をした。


「中身は…見たのか?」


「私、そういう所はちゃんとしてるから、見てないよ」


「…良かった」


と安心そうな顔をして、大事そうに手帳を抱えた。


「何?それに黒歴史でもあるの?」


「ある意味な」


「へー。見てみたいなー」


「さっき自分で、そこら辺はちゃんとしてるって言ってなかったか?」


「それとこれは別だよー。ねぇ、私も黒歴史言うから見せてよ〜」


「嫌だ」


「まぁ、いいよ。でも、お礼はちゃんとして貰わなきゃな〜」


「…何をすればいい?」


「仕事、手伝ってくれるよね」


「…分かった」


「やったー。じゃあ、私帰るから」


「待て」


「…何?」


「俺は手伝うと言っただけで、全部やるとは言ってないぞ」


「…。前から思ってたんだけど…。白斗君ってかっこいいよね!」


「俺にそれが通用するとでも思ってんのか?毎日言われて聞き飽きた」


「あっ、そうか」


またしても盲点だ…!


「じゃあ、なんて言ったら全部やってくれる?」


「『手伝ってあげる』とか」


「…そう言わせて手伝わせるつもりでしょ」


「よく分かったな」


「そんなにバカじゃないし」


「ほら、口より手を動かせ」


「ねぇ、無視しないでくれる?1番それが傷つくんだけど」


「良いから手伝え」


「分かったよ」


暫し無言になる。




「思ったんだけど、お前は俺の事を好きにならないのか」


「…ナルシスト?」


「違う。皆は俺と仲良くなると告白してくるから」


「うーん…。私はそういうのに疎いからね。あっ、もし私が白斗君の事を好きになったら、言ってあげようか?」


「そうだな。その方が面白い」


「その時絶対『なんだ?仕事はやらんぞ』とか言うつもりでしょ」


「ははっ、そうかもな」


「よし終わった。私もう帰るけど、どうする」


「どうするって何が?」


「一緒に帰ったりでもする?」


「いや、いいよ。俺、寄るところあるし」


「そう、んじゃぁ、またね」


「あぁ」


9月31日


はぁ、今日まで仕事忙しかったなぁ。2学期ももう中間まで来た。

頑張らなくては。


そして、私は優奈を見つけた。


「優奈ー!」


と駆け寄り声をかけようとした。


─瞬間。


「近寄らないで!」


「えっ…?」


と押されてしまった。


「優奈…?」


すると今度は近づいて言ってきた。


「ごめん…。樺乃が白斗君と仲良くしてるって噂が広まって、樺乃の事を良くなく思う人がいるみたい。だから、樺乃に近づくと…。だから、ごめん。暫く、話せない」


そして私から離れると、

「分かった?そういう事だから、覚悟しておいてね」


「優奈ー。何喋ってたの?」


「少しコイツに教えてやっただけ」


「そう、じゃあ行こう」


そう言って、学校へ行く。

私はその背中が消えるまで見ていた。


そう、か。私の居場所は、無くなってしまったのか。

所詮、友達はそんなもの。

強い力に怯えて、何でも切ってしまう。

過去も、他人も、自分自身でも。


私は図書室に向かった。

ここには誰もいない。

ここには何も無い。

だから嫌なんだ。

クソみたいだ。

こんな人生。

誰も彼も。

嫌いだ。

誰か。


「どうした?樺乃、大丈夫か?」

「白斗君…」


そう。

そうだ。

コイツの。

せいなんだ。

全部コイツが。

違うだろう。

白斗君は。

本当は。

クソ。

アイツ。

アイツら。

好きなんだ。

そのくらいに。

アイツらのせい。

アイツらが奪った。

本当に許せない奴ら。

この手でぶち殺したい。


「何でもないよ」


私はそう明るく言う。


「嘘だ」


笑顔がピクっと引きつった。


「嘘じゃ…ないよ」


「嘘だ。俺はお前を短い間だがずっと見てきた。でも、だから分かるんだよ。お前はずっと嘘をついた事が無かったんだ。ずっと素直で、自分の言いたい事ばかり言うやつだ。だから、嘘は、あんまりついた事ないだろ。顔に書いてあるぞ。…。何があったんだ。俺が助けてやる」



私は気付けば彼に抱きついていた。


「助けて…!助けてよ…!私、これからどうすれば…。分からないんだ。こんな理不尽…、あんまりだよ!」


「そうか、辛かったんだな…。分かるよ。俺も…苦しかったから」


そう、優しい言葉をかけながら、私の頭を撫でながら、慰めてくれたんだ。



「落ち着いたか?」


「うん…。絶対、アイツら𓏸𓏸して𓏸𓏸で、𓏸𓏸𓏸𓏸、𓏸𓏸𓏸𓏸𓏸𓏸、一生忘れないような絶望を与えてやる」


「女子…。いや、人間がまともに言わないような言葉言わない方がいいぞ」


「だってそんぐらいの事やられたし…」


「どんな事されたんだ?」


私は事情を説明。

すると顔を顰めてため息を着く。


「それは…。誰がやったか分かるか?」


「顔しか見てない」


「何してんだよ」


「仕方ないじゃん。本当にショックだったから…」


「はぁ…。とりあえず犯人が分かるまで、我慢してくれ。そんなに証拠とかが少ないなら、助ける事なんて出来ない」


「そう…」


「辛いだろうけど…我慢してくれ」


「分かった」


それから私は授業に戻る事にした。



10月12日

あれから1週間半。

私は、もうこの生活に慣れていた。


別に身体的に虐められている訳でも無いので、良かった。


ただ、毎日暴言の嵐だが。


それにも慣れたが、それを表に出さないように。

そいつらは反応がある方が、面白いから。


ただ、今起こっているのは、

私の裸の写真が出回っていることだ。


いや、正しくいえば、「誰かの裸の写真を私のものだと言って広めている」だ。

これには優奈もやりゆぎでは?と言ったが、


「これくらいやらないと、気が済まないもの」


と言ってやめようとしない。


初めは誰が送り、それを見たイジメの主犯格はこれは使えるのではと考えたそうだ。


そして、その事が広まるとやって来るのは、


「これを広められたく無いのなら俺とヤろうぜ」

というもの。


私は、

「もう広まってるから意味無い」

と言って追い払っているが。



「ねぇ、この写真、広められたくないならつら貸しならいよ」


とイジメの主犯格が言ってくる。


「みすぼらしい体してるね」

うるさい。

「こんなので興奮する人いるのー?」

うるさい。

「いるんじゃない?そこら辺のキモデブとか」

うるさい。

「ははっ、そうねー。あんたには、お似合いじゃないのー?」

うるさい。

「はははー!」

うるさい…!


あぁ、もう…、怒ってやろうか。


ブチッ!

と何かが切れた音がした。

切れてはいけない所が切れてしまった。


気がついていたら机を思いっきり蹴っていた。

「さっきからうるっさいんだよ!ごちゃごちゃと!私が!何したって言うの!」


「…!そうやって怒れていいわよね!あなたは!あの人と!雪賀谷君と!仲良いのに!」


「白斗君…?仲良いから何なの?別に白斗君は私の事が好きじゃないの、知ってるでしょ」


「そういう話じゃないの!仲良いのが気に食わないの!」


「じゃあ、言わせて貰うけど、友達になろうと努力はした事あるの?」


「…それ、は、」


「ほら、結局自分のせい。ただただ自分が出来ない事を誰かにも出来なくさせてるだけでしょ」


「…っ!そう言ってあなたも!雪賀谷君の事が好きなんでしょ!?」


「私が白斗君を?そうだったらもうとっくに告白してるよ」


「…っ、ふざけた事言いやがって!」


私は飛んできた拳を受け止めて、言った。


「こっちのセリフだよ。私の事をこんなにも怒らせた自分を恨むんだね。言っておくけど私、手加減しないから」


「ヒィッ!」


私が殴ろうとした瞬間、先生が来た。


「何をしているんだお前達!」


「チッ…!」


「せ、先生ー!」



私は先生に何があったか、どうしてあんな事したのか聞かれたが全て答えなかった。



(場面は変わり…)

「おい、これ見ろよ」


そう言って見せたのは例の写真だった。


「おま、バカ!」


「良いだろ、他に人いないんだし」


「そうだな。で、それは誰の写真だ?」


「ほら、あの樺乃って言うやつのだよ」


「あぁ、白斗と仲良い奴か」


「そうそう。でも、これよく見たらネットでよく見るようなやつなんだよな」


「えっ?つまり樺乃がそういうやつをやってるって事?」


「違う違う!誰かのやつを、これは樺乃のだー!って言ってるていう話」


「あぁ、そういう…こ、と」


「おい、どうしたんだよ?」


「その話、詳しく聞かせて貰おうか」


「えっ?白、斗…?」




(場面は変わり…)


先生の話によるとあの画像は主犯格に誰かが匿名で送り、「これ、樺乃の。まぁ嘘だけど(笑)」

と書いていたのを見て、それを広めたら…。

と思いついたらしい。


私が殴ろうとした件については反省文で済まされた。

どうやら、主犯格が自分で原因を作ったという事なのでこれくらいでいいだろうとなったらしい。

ちなみに主犯格も反省文を書かされている。

(私の方が書く量多いが)



まったく、誰がやったのだろう。クソみたいな嘘吐きやがって。

まぁ、出るのを待つのみだ。


10月12日

「えー、白斗さんが写真とメッセージを送り、それを𓏸𓏸さんが広めた、という事で、白斗さん、何か言う事は?」


「すみませんでした」


「えっ…?」


突然校長に呼ばれたかと思えば、送った犯人が白斗君と言うのではないか。


「そんな…嘘でしょ?」


「…」


「ねぇ、何か言ってよ…」


「…」


「ねえってば!」


「…すまない」



裏切られたような感覚を感じた。


そんな、

嘘だ。

絶対に白斗君はそんな事する訳ない。


そう思いながらも、その後は何も言えずに出ていってしまったを


10月13日

白斗君が、犯人?

と、私はまだ疑っていた。

そんな事やるはずないと思い出すのは

「すまない」

と言う彼の顔だった。


私は、図書委員の仕事があるのにやめた。

そんなくらい、それを受け止めていたのだ。


「なぁ、樺乃」


呼ばれて振り返ると男子だった。


「裸の写真なんだけどさ…」


と言われ

「それなら、もういいよ」

と返事にならない返事をした。


すると男子は、

「違うんだ、そういう事じゃない!俺、謝りたいことがあって…」


「謝りたい事?」


10月14日


「ねぇ、」


「なんだ?樺乃。こんな俺と一緒にいるとお前はまた変な事言われるぞ」


「…その事はいいから。話は聞いたよ。あの、本当の真犯人からね」


「…そうか」


「ねぇ、何で言わなかったの?あんな事して、何も得じゃないよ!」


「…俺は、皆から好かれたくないんだ」


「だからって!」


「お前ももう、俺の事が嫌いになったんだろ」


「違う!私は!白斗君の事が、好きなの…」


「…俺には、好きな人がいるから」


「!?…なら!その人にいい所見せようよ!」


「もう、いいんだよ」


「あっ…。行っちゃった」


私は取り残された思いに向き合えるのだろうか?もう、分からない。


10月15日


「白斗君は誰の事が好きなの?」


「…だから昨日も言っただろ、もう、いいんだよ」


「でも、そういうの自分的にも知りたいし」


「…□□だよ」


「ふーん、」



□□って、あの美人って有名な。

そうか、私はなんという高望みをしていたのだろう。


私みたいなのが、無理だったんだ。


私は静かに涙を流した。


10月16日


「白斗君、ずっと前から好きなの」


そう、聞こえた気がした。

声の聞こえた方に行くと、□□が白斗に告白しているではないか。


「この前の事件も、本当は白斗君じゃないんでしょ?私はそれを分かってるの。これを分かるのは私だけでしょ?だからさ、付き合って…くれないかな?」


私は、白斗君が返事する前に耳を塞いで行った。

途中、木の枝を踏んでパキッ、と鳴ったがそんなのどうだってよかった。

図書室に行くと、白斗君に付き合ったと言われてもいいように、今のうちに泣いておこう。

そう思いながら声を上げながら泣いた。



泣き止んで、落ち着いて暫く時間が経ったら、白斗君が来たので聞くことにした。


「見たよ。告白されてたね」


「うん…」


「おめでとう。良かったじゃん。付き合えて」


「付き合ったとは言っていないだろ」


「えっ?」


「付き合ってないよ」


「いや、何でよ!好きなんでしょ!?」


「もし、付き合ったら。分かるだろう。お前はもう、それを体感したはずだ」


「あっ…」



思い出されるイジメの日々。

私はただ仲良くしただけなのに。

イジメられていた

そんな日々。


「そんなの、理不尽だよ…」


「…お前に、言わなきゃいけないことがあるんだ」


「えっ?何?」


突然、悲しそうな顔をして言ってきた。


「どうせ、分かる事だからな。先に言っておくよ」


深呼吸をし、覚悟を決めたようなそんな顔をして言ったのは、




「俺は、余命半年なんだ」




そんな絶望の言葉だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

白くて透明でまだ純粋な君へ。 なゆお @askt

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ