死骸で着飾る、春

那須茄子

死骸で着飾る、春

 譜面のような形をした雲の下。

 イヤフォンを片手に、ずっと空を眺めていたら。


 飛び疲れた蝶々。

 私の掌に落ち、ぽつんと弾ける。 


 それは生命のほどけ目なのかしら?



 音が撫でる余韻に、浸っていると。


 蝶々は四肢を、自ら結わえだす。

 

 きっと自らの命を悟ったのかな。

 せめてもの、生命の悪あがきを見せつけてくれた。


 

 出来上がったそれは。


....綺麗な蝶々結びのリボンみたいに。  


....春が死骸を着飾るみたいに。




 私はその亡骸を、そっと髪に飾った。



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