千瑛路音

なんの箱?

 箱と言われても、今、思いつくものはほとんどない。どうしよう。と、なかなか出てこない時間にだんだんアセりを感じてくる。しょうがないから、箱の性格を考えてみる。箱と言われてまず、機能キノウを考えてみた。空間をサエギり、新たな空間を作り出す道具。あけたりしめたりできて、中にものを入れられる。自分の場合、どうしても立方体リッポウタイ想起ソウキしてしまう。かたい奴だ。


あけることによって、もしまだ未知ミチのものなら、何か中にあるのを期待する。自分の箱は、やや大きめのふたのついたやつだ。ふたには模様モヨウとしての帯が付いている。受ける側に接する部分だ。ふたを開けると中にヤミがある。光が届かないから暗くなる。そうなってくると、中には何も入っていないのかと思う。しかし、闇の中から何かこちらを見ている視線シセンを感じる。意識をそちらに向けると、それは二つの少し光っているかのような丸だ。目かな。ということは生物なのだろうか。やや不安になる。何も考えていなかった、闇の中に何かいると思うと急に緊張感キンチョウカンが増す。手を伸ばして、オソる恐る確認する。手のひらに乗るぐらいの丸っこい物体。物体というにはやわらかい、というかモフモフする。そんな感じ。何やら聞こえるので耳をそばだててみると、ぴよぴよ鳴いている。生物で動物のようだ。


これはどうやらひよこのようだった。想像するに大きくなったひよこは、自分の経験を箱にでもめて、おじいさんに提供するのだろうか。箱はたぶん廿楽ツヅラなのだろう。竹を細く切った材料を編み込んで作るものだったっけ。大きい箱と小さな箱があって、おじいさんに選んでもらう。あけてびっくりというやつだ。

そして話の終着点、今回のあらすじに沿って考えた場合、内容について考えてみるとお話は「舌切りスズメ」のお話だったという落ち。あらそういえば、ひよこが成長するとニワトリになるのであった。鶏はスズメではないので話に矛盾が生じる。やはり、この話は最初から少し無理があったようだ。こうゆうくだらない話はとっとと忘れてほしい。とりだけに。おあとがよろしいようで。

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千瑛路音 @cheroone

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