第154話 高鳴り
◇エリザリーナside◇
────同じ頃。
「────解決して良かった〜!って言っても、私が出て貴族同士の喧嘩が解決しないなんてあり得ないないんだけどね〜!」
内乱が起きかけていた貴族同士を、エリザリーナの話術と頭脳によってどうにか落ち着かせることに成功したエリザリーナは、一人そんなことを呟く。
「はぁ、本っ当この国、私が居なかったら今頃十回は大きい内乱起きてるよね〜!一時はどうして私がこんな面倒なことしないといけないんだろう、なんて思ってたけど、今はルクスのためだと思うと頑張れちゃう〜!」
大きな声でそう言うと、エリザリーナはもはや日課となりつつあるルクスに関する想像を始めた。
「剣術大会まであと二日……今頃ラストの追い込みみたいな感じで剣の練習とかしてたりするのかな〜!……そうだ!」
剣術大会から連想して、エリザリーナはあることを思いつき、それを一人想像してとても楽しげに語る。
「剣術大会が終わったら、その日の夜にルクスの家とか行ってルクスのこと驚かせちゃおっかな……それでルクスが剣術大会で頑張ってたところちゃんと見てたよって伝えてあげたりして、フェリシアーナもバイオレットも居ないルクスの家で二人……それで、何かの拍子にルクスと私の身体的距離が近付いたりして、ルクスが私のこと可愛いって言ってくれたり……え〜!待って〜!そんなことになったら私もう本当に色々と抑えられなくなっちゃう!でも────」
その後、エリザリーナはしばらくの間その優秀な頭脳をルクスへの想像力に費やして時間を過ごした。
◇ルクスside◇
「バ……バイオレットさん?今、なんて言いましたか……?」
今のバイオレットさんの発言が、とてもバイオレットさんの口から出たものだとは信じ難いものだったため、僕が改めてそう聞くとバイオレットさんは再度口を開いて言った。
「ロッドエル様のお体がお疲れになったと思いますので、共にお風呂に参りたいと進言させていただきました」
「お……お風呂?ぼ、僕とバイオレットさんが二人で、ですか?」
「はい……異性とお風呂に入るということで思うところはあるかと思いますが、私は仕事上、人体というものに対して熟知しておりますので、疲労している体への適切なアプローチ方法なども知っているのです」
なるほど……つまり、今の僕の体が疲労状態にあるから、それをバイオレットさんが適切に癒してくれるために僕と一緒にお風呂に入りたいということ────つまり、これも鍛錬の一貫……!
「……わかりました、そういうことなら……でも、バイオレットさんは良いんですか?その……お風呂に入るということは、お互いにタオルを体に巻くぐらいが限度で、服とかは……」
「他の男性だったのであればともかく、ロッドエル様がお相手なのでしたら私は構いません……ロッドエル様は……共にお風呂に入る相手が私で、不服はございませんか?」
「は、はい!もちろんです!でも……バイオレットさんのような綺麗な方と一緒にお風呂に入ると思うと、少し緊張してしまいます」
「っ……!そう、ですか……」
そんなやり取りをすると、僕とバイオレットさんは二人で一緒にお風呂場へ向けて歩き始めた。
◇バイオレットside◇
基本的には常に心を落ち着かせているバイオレットだが、今は、ルクスとロッドエル伯爵家の廊下を歩きながら胸を高鳴らせていた。
────ロッドエル様が、私のことを綺麗だと……そして、緊張するということは、少なからず私のことを女性として意識してくださっている、ということなのでしょうか……
そう考えるだけで嬉しいという感情でバイオレットは満たされる。
そんな時、バイオレットは以前シアナの言っていたことを思い出した。
「────別に、私だってルクスくんと一緒にお風呂に入るのが全く恥ずかしくないというわけではないわ……けれど、それ以上に愛しているルクスくんと、もっと身を寄せ合えるような関係性になりたいのよ」
────お嬢様……今ではそのお言葉の意味がよく理解できます……私もロッドエル様と身を寄せ合い、女性として意識していただきたいと、強く感じています。
バイオレットが静かにそんなことを思いながらルクスと歩いていると、二人はお風呂場前に到着して、先にルクスがお風呂場に入ってバイオレットのことを待つ運びとなった。
そして、少し時間が経ちルクスがお風呂場に入ると、バイオレットはロッドエル伯爵家の脱衣所に入り服を脱いで全身鏡を見る。
そこには、綺麗な紫色の髪に整った顔立ち、色白な体に加えて引き締まった体、そしてさらに長い脚に大きな胸元と、とても女性らしい体つきをしたバイオレットの姿があった。
……今まで、バイオレットは自らの女性らしい体つきがあまり好きでは無かった。
自らが女性らしい体つきをしていても、生涯意味など無いと思っていたからだ。
だが────それも、今までの話。
「ロッドエル様が、少しでも私のことを魅力的だと感じてくださるのなら……」
全く不安が無いわけではない……もしもルクスに魅力的だと思ってもらえなかったら、という不安はある。
それでも────ルクスが自らの体を魅力的だと思ってくれること、その時のことを想像すると、バイオレットは胸を高鳴らさずには居られなかった。
バイオレットは、そんな気持ちのまま体にタオルを巻くと、ルクスの待つお風呂場へのドアを開いた。
◇
この作品の連載を始めてから五ヶ月が経過しました!
この五ヶ月の間にこの物語をこのエピソード、第154話までお読みくださり、さらにいいねや☆、応援コメントなどで応援していただきありがとうございます!
あなたが154話という膨大な話数をお読みくださっていることや、この物語を応援してくださっていることに本当に常に感謝しています!
ここまでお読みいただいたあなたのこの物語に抱いている気持ちを改めていいねや☆、応援コメントなどで教えていただけると嬉しいです!
作者は今後も楽しくこの物語を描かせていただこうと思いますので、是非あなたも最後までこの物語をお楽しみください!
今後も応援よろしくお願いします!
◇
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