第150話 エリザリーナの心情
◇エリザリーナside◇
────私とルクスの関係……レザミリアーナお姉様に説明するならどう説明したら良いかな〜。
仮に、もし今この場でエリザリーナがルクスと婚約したいなどと言ってもレザミリアーナはいつものエリザリーナの冗談だと受け取ってしまう可能性が高く、そうで無かったとしても純粋に今まで婚約者の影をチラつかせることすら無かったエリザリーナに婚約者候補の相手が居るとなれば突然のことに流石のレザミリアーナでも混乱してしまうかもしれない。
────ここは、今後ルクスと婚約したいって切り出しても不自然じゃ無いように、今の段階からルクスと関わりがあるってことだけを伝えておこうかな。
これらのことを瞬時に考えたエリザリーナは、レザミリアーナの問いに対して答えるべく口を開いて言った。
「ルクスは私の友達なんだよね、ほら、もうあれから何週間も経ったけど、私貴族学校の王族交流会に行ったでしょ?その時ルクスと話して、仲良くなったって感じ!」
「そうか」
ルクスとの関係についての説明責任を果たしたところで、ここからは後先のことを考えた発言ではなくただただ自分が純粋にずっと気に掛かっていたことを口にする。
「それでそれで、ルクス元気だった?」
「あぁ、体調不良では無かったな、剣の腕も良く、性格も物腰柔らかで実に教えやすかった」
「そっか〜!いつも通りみたいで良かった〜!」
────ルクスが頑張ってるっていう話聞くと、私ももっと頑張らないとって思えるよね〜!あ〜!早く会いた〜い!
「今まで、調停に関すること以外でお前が男性のことについて話をしてくるようなことは無かったと思うが、ロッドエルには随分と入れ込んでいるようだな」
「それはそうだよ、だってあんなにかっこよくて可愛くて優しい男の子なんて、この国の中でも一番色んな人を見てきた私でも見たことなかったもん」
その言葉を聞いたレザミリアーナは、少し沈黙する。
────本当に早く一緒に生活したいなぁ、一緒に朝ご飯食べて、ルクスが勉強とかしてる時はそれを見守って、ルクスがわからないところがあったら私が教えてあげて、お風呂とか寝るときも一緒!理想の生活すぎて想像するだけで幸せ……
エリザリーナが心の中でそんなことを考えていると、レザミリアーナが口を開いて言った。
「エリザリーナ……仮にだが、自らの意中の相手にもうすでに婚約の話を持ちかけているものが居たらどうする」
「……え!?レ、レザミリアーナお姉様が恋バナ!?」
今まで無かったことにとても驚愕したエリザリーナだったが、レザミリアーナは落ち着いた様子で言う。
「たまにはこういう仮定の話をするのも良いと思ってな」
「へぇ……」
────仮定の話、ね……普通だったらレザミリアーナお姉様に好きな相手ができたって考えるところだけど、あのレザミリアーナお姉様がそこら辺の男に惚れるなんて思えないし、これは本当に仮定の話なんだろうね。
「そういうことなら乗ってあげる!えっと、要は好きな人に別の好きな人が居たらどうするか、みたいな話だよね?」
「平たく言えばそうなる」
その答えはエリザリーナ自身の現状からすでに答えは出ているが、エリザリーナはそれをそのまま規律を重んじるレザミリアーナに伝えても良いものか少し考える。
そして、考えた上でここで正直に答えなければ自らが後ろめたいことをしていることの証明になってしまうと考えたエリザリーナは即答する。
「その相手を排除してでも、私がその好きな人と結ばれる……かな」
「排除、か……冗談にしても、このような恋愛話には似つかわしくない物騒な言葉を使うのだな」
「────レザミリアーナお姉様には、今のが冗談に聞こえたの?」
突如虚な目をしてそう聞いてくるエリザリーナに対し、レザミリアーナは特に臆することなく頷いて答える。
「あぁ、民の見本となるべき王族の口から出て良い言葉では無いからな、冗談で無くては困る」
────心情的に正直に答えるべきって思ったのと、レザミリアーナ姉様の反応を見るためにっていうのも含めて正直に答えてみたけど、予想通りの返事かな……このレザミリアーナ様の堅すぎる考え方も、今の私みたいに誰かを好きで好きで堪らなくなったら治るのかもしれないけど……とりあえず、今は変な反感買わないようにしとこ〜っと。
エリザリーナは、虚な目をやめて普段通りの目に戻って明るい声音で言う。
「あはは、そうだよね〜!もちろん冗談だから安心して!」
「それなら良かった」
「うん!じゃあ私仕事あるから、お姉様も頑張ってね〜!」
そう言うと、エリザリーナはレザミリアーナに手を振ってレザミリアーナの部屋を後にして王城の廊下を歩きながら心の中で呟く。
────多分剣術大会の練習とかしてるせいなんだろうけど、最近あの豪華客船の時ぐらいしかルクスと会えてなくて本当辛い……あぁ、もう、本当そろそろルクスと会えなさすぎて、色々と我慢できないかも……
そう呟きながらルクスのことを考えていると、エリザリーナはそれだけで楽しい気分になり、頬を赤く染めながら口角を上げた。
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