夢は空箱故に宝箱
半目真鱈
夢は空箱故に宝箱
「人の夢は何時も何時でもある筈よだって人は夢を持つ生き物だもの」
そう語った人が居たそう私...
そんな私の青春の最後を飾るに相応しい日に私たちは離れ離れになる事が決まった。それは親の転勤でも中学校が離れ離れになったからでも無いそれは私の夢が宝箱では無く空箱になった出来事でありその出来事とは...。
「死」
「私の親友明夢名花の命を奪ったのは、転勤でも無く中学校が違った訳でも無いたった1つの病気で名花は死んだ。
名花の今の医学でも直せないらしくて、そしてその苦しさは想像を絶すると言う物らしい」
「名花は...めいかはぁうぅ」
名花は何時も何時でも夢は宝箱の様に素晴らしいって言っていただって私たちの未来は輝いているから...そう何処かで聞いたような言葉が好きで、私を...鈍くさくて鈍間な私を引っ張ってくれた存在だった。
そんな事を考えながら私は名花のお母さんに呼ばれたと言う理由で、名花の家に名花が死んで初めて行く事になった。
名花の家は何時もの名花の笑い声は全くと言って良いほど響かずに悲しみで押しつぶされそうな程の重圧を感じた。
「いらっしゃい琴子ちゃん上がっていって今お菓子を用意するから」
「はいありがとうございます」
「はいいらっしゃい」
そう小さく話す名花のお母さんは、憔悴しきった様に痩せ細り今にも倒れそうな程に弱っているのが私にも分かった。そうして上がってから暫く経ち湯気を出している紅茶と茶菓子のケーキを持ってきて、名花のお母さんは話し出した。
「実は名花が死ぬ前に書いたお手紙を見つけたのそしてそれには私と琴子ちゃんで見てねって書かれてたわ...あぁっうぅっめいかぁっっ」
最後の方は私でも聞き取れないほどに泣いていて私は名花のお母さんの背中を擦っていた。
名花の家は幼い事にお父さんが亡くなって女手一つで名花を育てたらしくて、それでも名花は...普通なら嘆いても仕方がないのに何時も笑って、喜んで、未来には輝きが有るって確信してて、泣く事が無く、怒る事もないそんな親友だったのに
「うぅうぇ~んめいかぁめいかぁ」
「泣かないで琴子ちゃん貴方が泣いていたらめいかが悲しむからぁあっ」
そうして暫く泣いていて、気が付いたころには出された紅茶は冷え切って、湯気も出ていなくてケーキはちょっとパサパサしていた。
「あっあの名花の手紙って?」
「そうそれねそれならこの箱に入ってるわ」
そうして出された箱をゆっくりゆっくり宝物で扱うかのように開けて中に入ってる2通のお手紙をこれもゆっくりゆっくり開ける。
琴子へ
これを読んでる時には、私は死んでるだろうって思ってるから私の秘密を書くね。私貴方に出会えてとっても嬉しかった。初めは、貴方が鈍くて鈍くさいって思ってただけど違った。
貴方は私が家の事でクラスメイトに遠巻きにされて悩んでる時にも変わらず話しかけてくれて、私に「友達になりましょう」って話しかけてくれた。
私それがとっても嬉しかった。それまでは私の夢は私が言っていた様に空箱だった。だけど貴方が居てくれたから貴方があの時話しかけてくれたから私の夢は宝箱になった。
私は絶対この病気を治して琴子と同じ中学校に通って同じ高校に通って、そして二人で一緒にお花屋さんを始めるの私が悩んでいた時にタンポポのお花を持って友達になりましょうって言われて私嬉しかった。私と貴方を繋いでくれたタンポポが、お花が好きになった。
だから私の夢は貴方と一緒にお花屋さんを開くこと、だったけど私もうダメだったみたい私の夢は多分死ぬまで宝箱だから、だからねぇ
琴子の夢も私が居なくなったせいで空箱になんてならないで琴子と私の夢で箱いっぱいの宝箱にしてほしいの。
ねぇ琴子、私貴方の親友で良かった。
「めいかぁめいかぁ...私...わたしぜったいぜぇったいにお花屋さんになるそしてその時は貴方も一緒になろうねぇ」
「グスッ名花ったら貴方こんなに成長していたのねお母さん気が付かなかったわ
琴子ちゃん名花の親友になってくれてありがとう」
「私...わたし今の親友だもん私の一番の親友だもん」
「そうごめんなさいね貴方は名花の一番の親友よ」
「うん」
その後は名花のお母さんと一緒に夕方まで泣き続けて心配したお母さんが名花の家に来て、それで手紙を見て一緒に泣いている私たちを抱きしめながら泣いてくれていた。
私の夢と言う名の宝箱は空箱になっていた。
名花が死んで私の夢は今までずっと空箱のままだった。
でも名花がくれた手紙には、私と一緒にお花屋さんになるって書いてあった。
私の空箱は宝箱になった。
夢は空箱故に宝箱 半目真鱈 @yugudorasiru
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