第9話 勉強

朝食の片付けを終え。一段落した頃、俺が一言言いはなった。


「そろそろ勉強を始めよう」


「うむうむ!まずは、何からするのじゃ?」


「言語、読み書き、計算、一般常識等々!覚えることは沢山あるぞ!やったな!」


「なんかの呪文か?」


「今から覚えることだ」


「なんじゃと!多いな!」

エスフィールは若干嫌そうな顔をした。


「多くて可哀想だがこれから地球で暮らして行くには絶対に必要な事なんだ。すまんがわかってほしい」



「わっ!わかった!わかったから!少し離れてくれ!顔が、顔が近いのじゃ!」


「おっと!すまん!すまん!

慌ててエスフィールの肩にのせていた自分の手を引っ込めた。


「セツナがそこまで言うのなら!魔王である我が身としても頑張ってみようかのう」


「おー!そのいきだ。そのいき」


頼みこんだ効果が現れたのかやる気を出してくれたみたいだ。

エスフィールに勉強を教えるのには俺の為でもある。


ギフト(多分)のお陰で肉体は昔に戻っているがアリーナに数年いたためこちらの世界の事や情報を知らなかったり勉強等は忘れてしまっている部分があるの為である。


それらの事を覚えるためにも勉強するための時間が欲しかった。


「よし!始めよう!」


「おう!なのじゃ~!」


そして勉強会は始まったのだった。


最初エスフィールには日本語を覚えてもらいたいと思い簡単な読み書きや文章の仕組み等小学校で最初に習う内容をなるべく丁寧に教えていく。


何事も最初の基本が一番大事になるのだ。


アリーナでも師匠からも基本を何度も練習するように魔法院時代良く言われた。


それに人に教えるのは嫌いではない。同じ魔法院にいる時にパーティーメンバーであるサーシャに勉強を教えていたので人に教えるのには慣れていた。


「なるほどなのじゃ!日本語は面白いのう!」


エスフィールはそう言って日本語をどんどん覚え。まるでスポンジが水を吸うような勢いで他の勉強も吸収していった。

こちらの世界に飛ばされ魔法が使えなくなった対価なのかギフトなのか未だに分からないがもしかしたら魔法が使えなくなった分違う力が伸びたのかもしれない。(知力、身体能力、見た目等)


アリーナでは魔法族の血筋で魔王にまで登り詰めたのである。あれだけの魔法総量だったのならこちらで、もしギフトを受け取っているのなら知力や判断能力等に力が振り分けられたのかもしれない。


そして更に数日たった。エスフィールは覚えがとても良かった。

基本的な日本語は直ぐにマスターし計算等も元からある程度出来ていたみたいですんなりと中学レベルまで到達した。

地球での常識もゴーチュウブの動画で進んで覚えていった。


「面白いのう!面白いのう!セツナ!こっちの世界は面白いぞ!」


目を輝かせいた。


「ならもっと上の勉強でもしてみるか?」


「上の?」

俺は親の部屋にあった高校、大学生等が習うような教材を持ってきた。


俺もエスフィールと一緒に勉強していくのが楽しくなりエスフィールが、どれくらい出来るようになるか見たくなったのだった。


だがこれがいけなかった。俺も勉強が嫌いではなくのめり込んでタイプなのでエスフィールと一緒になって勉強に励んだ。


そのせいで一週間だけ休む筈が。2人で貪るように勉強に時間を費やした。あれやこれやと二週間伸び。合計で三週間も休んでしまった。


だが、その代わり忘れていた中学校の勉強もかなり思い出し、更にその先の勉強まで手出してしまい。高校生レベルの問題も解けるようになっていた。


(エスフィールは中学校高学年の問題なら直ぐ解けるようになったな。)


「凄いな!こんな短時間でこれ程、覚えるとは思えなかったよ。これなら俺が通う学校でもやっていけるかもしれないな」


「セツナが通う学校?」


「そうそう!君は凄いよ!最初はバカだと思っていたけど。さすがは魔法族の一族だ。覚えがいいし。理解力凄い」


「まて!最初は私の事をバカだと思っていたの」


プンスカと怒っていた。だがそんなことはどうでもいい。こちらの世界でエスフィールが更に勉強出来るように環境を整えてあげたいと思うようになった。


アリーナに行くまでの間。通っていた中学校までは切磋琢磨できる人間がいなかったが。エスフィールなら間違いなく勉強面で俺のライバルになる。それを一緒に勉強していくうちに気づいた。


聖豊中学ならもっと彼女の為の勉強できる施設が、色々ある為。こちらでの見識も深められるだろう。どうすれば同じ学校に通わせられるか思案し始めた。

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