第8話 『神隠し』その7
『この神社の庇護があるとなれば、むやみやたらなことはできないから。』
『ほう❗』
『ただし、仲間にはなれない。』
『それって、村八分状態ですか? そりゃへんだ。だって、この神社は、崇敬されてるわけでしょう?』
『尊敬してちかよらず。神社って、そんなもの。』
『はあ。そうなんですか?』
『まあ、時の権力者が後ろ楯になってるかどうかは、ありますが。』
『ここは、いないですか?』
『いません。いいですか、ここのご祭神は、つまり、ユーフォーですからね。はっきりそうは申しませんが、事実上、宇宙人を神様にしている古くからある神社は、国内ではここだけでしょう。新しいところではあるかもしれませんが。なにしろ、ご祭神は、宇宙から飛来した物体とされています。宇宙人そのものではない。それは、たぶん、今もあります。発掘はされてませんが。一時、流行ったわけですが、いまは、忘れ去られています。もう、そうした時代ではなくなったから。世界の輝く星は、タイガーさまのみ。しかし、現実的ではなく、ご利益もない。地下の謎の巨大な物体を祀っているだけ。非現実的です。あまりにアホらしいから、政府からは見逃されています。何の政治的な力もないしね。』
『それ、つまり、ほんとの話しですか。かなり、うそっぽいな。この神社はでかいですよ。財産ありそうだし。』
『ほほほ。みためだけ。まあ、多少の神社としてのまっとうな事業はしていますよ。利益は少ないです。だいたい、宇宙船があるなんて、証明はされてませんし、信じてるひとは、ほとんどいない。それでも、年二回、参拝団は来ます。それは、歴史の力です。まあ、だから、良いのですよ。もし、言われるような、あんなでかいものが、地球にほんとに高速でぶつかったら、地球は、ばらばらです。そうではなかった。着陸したのです。やんわりとね。ものごと、すべてわかっていることは、つまらないものです。わからないことに、深い意義があるのですから。みな、その話しにロマンを見るのです。こんな時代だし。独裁だ、との批判をかわして、見た目のバランスを取りたい、東地球政府からは、うまく見逃されているというのは、確かに幸運です。ただし、さすがに、町中でこんな話しをしたら、危ないですよ。』
『だから、この神社は、駆け込み神社なわけ。』
『はあ。うんじゃあまいやらは、許されてるわけですよね。』
『あれは、頭から、タイガーさまを排除しないのです。伝統的な勢力でもない。なにを祈ってるのか、本人たちにもわからない。しかも、こんな田舎の地域信仰に過ぎない。まあ、境遇は、似た者同士なのです。しかも、町のほとんどが信者です。さらに、外に出る気はまるで無し。政府からしたら、なにかと、押さえやすいわけよ。』
『ふうん………😒』
ぼくは、すっきりしなかった。
🛸
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