第8話 メールを送る如月さん

「……如月さん、どうしたのかな……」

なにか僕が粗相を働いただろうか。

ーー駄目だ、分からない。

思い出す記憶と言えば、図書館の帰りにご飯とかを一緒にして……それだけだ。告白したわけでも、脅迫したわけでもない。

ーーもしかして、存在自体嫌だったとか?

今までのは全部、僕を不登校にするためのイジメだったりーー

ピロンッ

軽い音が部屋に響く。

この音はスマホの通知音……しかも、リニア(メールアプリ)の。……なんで?

おそるおそるスマホを開く。と、1件の通知が。

『今、お話いいかな?』

送り主は……如月さん!?

え、なんで?というかどうやって!?

ーーへ、返信……しよう。

震える指で丁寧にロックを解除して、件のアプリを開く。

〈RiNiA〉というアイコン画面から、メール通知画面が開かれる。

……あっ、た……

確かにメールがきている。幻じゃない。

アカウント名前は、『如月 唯』。しっかりと本名だ。……セキュリティ的に大丈夫か、これ。

『うん。いいよ。』

ゆっくり、打ち間違えないように返信する。


                         

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