まどろみ魔王と、うたた寝の巫子【BL】
小花ソルト(一話四千字内を標準に執筆中)
第1話 俺は体がとっても弱かった
小さい頃から、気づくといつも誰かに揺り起こされていた。いつ自分が寝入ってしまったのかも覚えてない。昔から俺は体が弱くて、ほんの少し運動したり、ストレスがかかると、立ったままでも寝てしまうことがあった。そんな自分を変えたくてさ、とにかく体力さえつければいいだろって考えて、たくさん走ったり、腹筋や背筋を鍛えてみたり、夕方に鉄棒にぶら下がったり、いろいろやってみたけどさ、全然効果が出ないどころか、気づいたら地面で寝てた時もあった。見回りしていた駐在さんが、起こしてくれたっけ。
体操座りして校長先生の話を聞く時も、気づけば、頭を膝の間につっこんで深く眠ってたな。後ろに座ってたヤツに背中を突っつかれて起こされてた。
教室でも、空気が暖かくなると、船を漕ぎ出す。特に体育の後や運動会の練習の後は、必ずうとうとして、寝てしまう。
家でも宿題やってる途中で、うとうと……。
「他の兄弟たちはみんな黙々と勉学に励んでいるのに、なんだお前のこの成績は。居眠りばかりしているせいなんじゃないのか!」
兄弟の前で、父ちゃんに厳しく叱られたこともたくさんあった。
「丈夫に産んであげられなくてごめんね。でも、お母さんはいつでもあんたが歩んでいく道を応援してるからね」
母ちゃんだけは、味方でいてくれたけど、別に謝らなくていいよって何度言っても、謝るのをやめなかった。
最後らへんの記憶は、病院の白い部屋。お金がかかるから個室じゃなかった。同室はお爺ちゃんばかりで、俺を孫のようだと言って、よく話し相手になってくれた。
退院していく爺ちゃんたちを、病院の窓から見送った後の、記憶がおぼろげで。
俺は、退院できたのかな……覚えてないや。
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