【5万PV感謝！】無自覚善人さんは、今日も今日とて、モブにはなれないようです！

第55話 改められた印象、気付かない本人。

　……なんで俺なのだろうか。

　あのあと清瀬に俺の代わりを頼むと言ったら、『君がやるからこそが意味があるんだ』と意味不明なことを言って断られた。

　なんで俺がやるから意味があるんだ？

　一つも分からない。

「……なんで俺が……」

「天川君、それはないよ。みゆちゃん可哀想……」

　えっと……それはどういう意味だろうか。

　可哀想？なんで？

　確かにペディアに絡まれたことは可哀想だと俺も思う。

　でも俺が手伝わないのが可哀想なことにはならないはずだ。

　本当に意味が分からない。

「……まあ、天川らしくね？このくらい鈍いほうがむしろ俺は安心するわ。このクソハブられせやろうめ……」

　ハブられせ野郎？

　どこが？……それなら彼女がいる堂川とか、いつもモテている清瀬のほうがハブられせていると思うけど。

「……w……」

　ペディア、多分陰で笑うのが一番失礼だと思うんだけど、お前、今笑ってたよな？

　さっき散々な目に遭ったのに立ち直るの早すぎだろ。

　マジでムカつくな。

「ハイハイ、受ければ良いんでしょ受ければ。分かったって。そんな責めるなよ……」

「その態度もね……」

「そうだぞ！中野は天川のことが大す……」

「ちょっと黙ってようね？」

「なんでだ！別に隠すことじゃないじゃないか！」

「ん？私の言うことが聞けないの？」

「………」

　……怖っ。

　福生さんって真面目に怖いな。

　新島が幼馴染だからってだけかもしれないけど、もしそうじゃなくてあの冷ややかな目が俺に対しても向けられると思うとゾッとする。

　といっても乃愛のよりは数万倍マシだけど。

「ということで、分かった？天川君？」

「……分からんけど、とりあえず受けるので良いんだよな？」

「……なんでこの人こんなに鈍いの？みゆちゃんが可哀想だよ……」

　……何かとても失礼なことを思われた気がする。

　気のせいだろうか？

　別にいいか。特にそういうのを気にしても無駄だし。

「でも結構あとだろ？まだ6月なったばっかりじゃんか。なぜそれを今言った？」

「……才人、流石にな。」

　え？清瀬？どういうこと？

　何で今肩にポンってした？

　全く意味がわからない。

「どういう意味だよ。清瀬教えてくれよ。」

「自分で考えてみてくれ。」

「だから、それどういう意味なんだよ！教えてくれってば！」

　そのまま清瀬は俺を無視するモードに入った。

　何だよ。気になるじゃないか。

　モヤモヤを残すとかある意味陰口とかよりもたちが悪いんですが？

　取り合えずよく分からないけど、俺が悪いのは分かった。

　分かったけどさ、なんかモヤモヤがなあ……。

　中野さんも白い目で見てきている。

　つまり俺に味方はいないらしい。

　……どうしてこうなった。

　俺が何か悪いことしたのはさっきの時点で分かってる。

　でも誰も教えてくれないのだ。

　その代わりにみんな鈍いとか自分で考えろとか、それはないとかよく分からないことを言ってくる。

　確かに気配には疎いから間違ってはないけど、今は関係ないし、それはないって言われてもどの事なのかが分からない。

　よって、自分で考えろと言われても何一つとして心当たりがない。

　そんな中で俺にどうしろと？

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「あらら。これはどんな感じ？」

「あ、楓花ちゃん。実は才人くんが……」

「……その言い方だと絶対に伝わらないと思う。妹ちゃんから聞いたから間違いないよ！それで何伝えたかったの？」

「……内緒。」

「そっかあ……内緒かぁ……それじゃああたしは力になれないかな。」

「うん、ごめん」

「別に全然。気にしてないよ！」

「おい、稲城！その言い方だと伝わらないってどういうことだよ！」

「才人くんのね、妹ちゃんってねブラコンなの！でもね、才人くんそれすら気づいてないんだよ？そんなフワッとした言い方で気づくわけ無いじゃん！」

「マジか……筋金入りの鈍感っていうか、それって感覚器官ついてんのか？そこまでだともう救いようないぞ……」

「……楓花、それって本当？もしそうなら謝らないといけないからさ。」

「本当だよ。才人くん本人が好き好き言ってる妹ちゃんで気付かないだから間違いないよ！」

「……………はあ。（全員）」

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　一度深く考えたが、何一つアイデアが浮かばない。

　俺はどうしたら正解なんだろうか。

　ふと周りを見るとさっきまでは軽蔑の目を向けられていたのに今はなぜか可哀想なものを見るような生温かい目が向けられてくる。

　……なんか釈然としないんだけど。

「才人、なんかごめんな。」

「えっと……どういうこと？待って状況が理解できない。え？さっきまでみんな俺をすごい責めてたよね？なんで？え？」

「天川、きっと良いことあるよ。彼女がいる俺が保証する。」

　さり気なく自慢入れてくんなし。

　……あと彼女のあるなし関係ないだろ。

　これはどういう風の吹き回しだ？

　むしろさっきよりも居づらいんだけど。

　ねえ！誰か説明してくれ……頼むから……