第33話 部長の脅威。
うん、人来すぎ。
何人来てるんだよ。
本当に大丈夫か?
乃愛が誘ったのだからとか思ってたけどこの人数はやっぱり不安になってきた。
えーっと、来てる奴らはほぼ全員顔見知りじゃねぇか。
でも流石に十人は多すぎるって。
二人だけ知らんやつがいるがそれだけだ。
名前知らん奴は一人いるけど。
「ここ誰の家なの?」
日野さんそれ思ってても言っちゃダメなヤツ…
「俺ん家。その言い方なくない?俺悲しいんだけど。」
「あ〜ごめんごめん。天川の家だったんだ〜なんか意外。」
え?どこが意外なんだよ。
どこからどう見ても普通の家だろ。(本人目線)
「何がだよ。俺の家のどこが意外なんだよ?」
「喧嘩口調で言うのやめてくれない?普通に傷つくから。」
「やあ才人、お邪魔してるよ。」
「僕もいるのを忘れないでくれないかな?」
「あ〜清瀬とペディアか…はいはい分かった分かった。」
トップカースト勢揃いかよ。
いや数人いないけどさ。
でも主要メンバーほとんど来てるじゃん。
「宇川は分かるけど清瀬にまでその対応って流石天川!」
「褒めてるのか貶してるのかよく分からない評価だな。」
「てか本当に広いね〜何部屋あるの?」
稲城かよ。
てかもういい加減さん付けが面倒くさくなってきた。
さっき呼び捨てで呼んだし。
もういっそ呼び捨てにするか。
「今の時点で空き部屋が五部屋はあるな。」
「うん滅茶苦茶広いね。」
何か含みがあった気がする。
すっごい真顔で淡々と言ってたし。
なんかすごいバカにされた気分だ。
「急にガチトーンになるのはやめろ。何か傷つくじゃないか。」
「傷つく要素一つもなくなかった?」
いや、ガチトーンで言われるのは普通に傷つく要素だと思うが違うのか?まあいいや。
「…で、でも…」
「お兄ちゃん。料理手伝ってくれるんじゃなかった?」
あっ。すっかり忘れていた。
てかこれで今日二回目じゃんか。
絶対に乃愛に呆れられたに違いない。
だってすっごく冷たい目でこちらを見てくるんだもん。
…終わった。
「才人君、こんにちは。ってどうしたの?」
あ〜中野さんか。
今は俺は何も出来なさそうだ。
放っておいてくれ。
「あれれ?お兄さんのテンションだだ下がりですね〜
…乃愛ちゃん!ここはお兄ちゃん!大好き!ですよ!」
「そんなこと言うわけないって。お兄ちゃんが全部悪いんだし…何で私が慰めなきゃいけないの…」
「それならうちに任せといて!とびっきりのネタ用意してるから♪」
すごい嫌な予感がした。
誰かの絶叫が、この後で響くような。
これ、っていうか高坂先輩を止めないとな…
乃愛…いいや今は優先すべきことがある。
友人の悲劇をこの場で起こさせないためにもここで行動しなくては…
「先輩、それはやめてあげて下さい。ペディア以外のテンションが下がりますし、一人再起不能者がでます…」
「だって露骨にテンション下がってるじゃん!ここは一話題と行こうよ!」
俺はこれはヤバいと思い、だだ下がりの気分の中、清瀬の耳元に近づく。
「清瀬、このままだと…だから…」
「それは確かにマズいね。大丈夫。何とかするから。」
清瀬に頼って良かった。
これで堂川がこの場で振られて、家の雰囲気が最悪になるという事態を避けれた。
まだ確定ではないけど、これまでの経験上大丈夫だろう。
「先輩。それ言ったらもっと才人の気分が落ち込みますよ。やめてあげて下さい。」
「え〜?絶対大丈夫だよ〜
…散々宇川君と一緒に嫌がってたじゃん。それにどこでやっても同じじゃないかな?うちは気にしないけど。」
「それ考え方変えたら普通にイジメですから。問題は起こさないでください。」
「ちぇ〜つまらないの〜…やっぱり言っちゃお〜」
まさか…清瀬でも無理だったか…
もう色々どうでもいいか。
今は乃愛から怒りを通り越して、呆れられているわけだし。
「言ったら分かってるよね?クソ兄に言うから。いい?」
「…ごめんなさい。」
日野さん…
よく聞こえたかったけど、一言であの先輩を沈めたらしい。
あのイケメンフェイスで全てのことを円滑に進めてきた清瀬が出来なかったあの問題児先輩をあんなあっさり言い負かすなんて…何者なんだろう?
もしかして元ヤンとか?
そんな今の時代にあるわけ…いや憶測でものを考えてはいけない。
よく母さんが言っていた。
確実だと思えるもの以外は信用し切るな。と。
だから今は冷静に、考えよう…
とはいえ、乃愛が冷たかったという事実にあまり頭が回らない。
それにしても堂川良かったな。
付き合う時間が長くなった分振られる悲しみが増えるの考えたら彼にとって本当に良かったのかは分からないけど、少なくともこの場で公開処刑されるよりはマシだろう。
「ん?天川どうした?どうして俺をそんな哀れな目で見るんだよ。なあ?」
そりゃあだってなあ。
そもそもあの場で振られそうになったんだ。
これじゃあ堂川は本当に救われないじゃないか。
「…いや、別に。強く生きろよ、堂川。」
「それどういう意味だよ。」
本当に強く生きて欲しい。
決して高坂先輩に振られても落ち込まず前を向いていて欲しい。そうしてくれないと見てられない。
十中八九無理だろうけど。
そう考えたら、俺が乃愛に呆れられたことがちっぽけに思えてきた。
堂川のは取り返しがつかないけど、俺と乃愛との関係は取り返しが簡単につくもんな。
こんなことで凹んでなんかいられないか。
ありがとう堂川。元気が出たよ。
「…………だからそれどういう意味なんだよ!!」
あ〜堂川、ご愁傷さま。
______________
作者です。
登場人物一覧について、
現在作成してあるのですが投稿したほうがいいでしょうか?しないほうがいいでしょうか?
もしよければご意見のほどよろしくお願いします。
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