森川明弘の話

犯人を捜す

どうしたものか。


近所のお姉ちゃんを殺した犯人を捜し出したいのだがいかんせんお姉ちゃんの名前がわからない。

俺が子供の時に彼女は自身の名前を「ひみっちゃん」としか言わなかった。


こんなことになるのなら無理矢理にでも聞いておけば良かったと少し後悔している。



あの日の出来事が思い出される。

喧嘩をして色々言ってしまったことを数日経ってから謝ろうと決心した放課後。

インターホンを鳴らしても出てくれないお姉ちゃん。

ドアノブに手を掛けると開いていた扉。「お邪魔します」とひとこと言ってから入った玄関。

そのまま部屋に進み見つけたお姉ちゃん。

彼女は首を吊っていた。

慌てて救急車に連絡したが手遅れだった。


その後聞いた警察の話では彼女は自殺したらしい。

だが、俺は信じない。絶対あれは他殺だ。お姉ちゃんがそんなことするわけない。


他殺である情報を集めるため俺は何年も費やした。弁護士として活躍するために京都に引っ越しした後も地元周辺の情報集めを怠ることはなかった。


警察がお姉ちゃんを冤罪で問い詰めていた情報が入った。警察は市民を守るのが仕事じゃないのか?何もしていない市民を追い詰めてどうするんだ。


このような情報が出てきた以上、やはり警察は信用ならない。自殺したというのもきっと嘘なんだ。


冤罪がこれ以上出てこないように働きながら更なる情報を求めて俺は動く。


しかし、これ以上の情報は集まらなかった。

本名を知らない人物の情報集めというのは難しいものだな。


自分の事務所にある自分の椅子に座りながら俺は天井を眺める。

さて、どうしたものか。

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