白椛万里香の話
失敗例
ああ、失敗してしまった。
生物の身体構造については詳しいが精神に関してはまだ知識の浅いところがあったようだ。
ある程度の事前調査をして、結果を予測していたのだがここまで壊れるのが早いのは予想外だった。どうやら人間というものは自分が考えている以上に脆い精神を持っているらしい。
そのようなことを考えながら私は自分の目の前でうずくまっている人物に目を向ける。
怯えている彼女はこちらから話しかけてもよくわからない声を出すのみで特に何も答えてくれない。大したことはしていないつもりだったが今までの過程に心を折るようなものがあったのだろう。
私はただ、自分に従順なペットを作りたかっただけなのだがマトモに話せなくなるほど壊れてしまった彼女はもはや使い物にならない。今はこのような状態でも後々正気に戻る等のことが起きる可能性もあるため変に処分することもできない。
困ったものだが仕方がない。こうなったのは自分のミスなのだから責任を持って最期までしっかりと面倒を見てあげよう。
とりあえず、ここですることはもうないな。部屋に戻ってこの実験を書類に纏めて結果を分析しなければ。
この実験をカメラで録画しておいて良かったと心の底から思った。
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