可能性はゼロじゃないんだけどさぁ……

さいとう みさき

どう考えても無理じゃね?

「なあ、やっぱ無理だろそれ?」


「いやいや、可能性はゼロでない限りもしかしたらがあるじゃん。有名なエルフだってそう言ってわ」


「とは言え、その【感知魔法】って確率高いんだろ?」


「そうは言うけど、その確率は七割ってところだからね、残り三割もお宝だって可能性があるんだよ?」


「でもなぁ~、おい、お前さんドワーフ戦士はどう思う?」


「儂は魔道は好かんからな。鍵開けのプロシーフに任すわい」


「いやいやいや、【感知魔法】でミミックって分かってたら、鍵開けしようとしたら襲われるってば!」


「そういや、ミミックってヤドカリみたいだから倒して茹でて食うとうまいらしいぞ?」


お前戦士、また魔物喰おうとするなよ……」


「とにかく危ないなら止める事だな」


「ちょっと待て、『シュレディンガーの猫』って知ってる?」


「ああ、確か開けるまで分からないってやつだっけ?」


「そう、つまりこの宝箱も開けない限り分からないって言う事だよ!」


「「「いやいやいや」」」


「なんでみんな、そうロマンが無いかな? 考えてみて、もしお宝がざっくざくだったら? もし伝説級の武器が入っていたなら? もし古代の魔導書とかスクロールが入っていたとしたら? もし精霊の王がいて出してくれたら三つ願い事を聞いてくれるとしたら!?」


「確かにそりゃぁ、そうなってくれれば万々歳だよ?」


「でもなぁ、確率三割って微妙じゃないか?」


ドワーフ戦士には分からんから、ミミックだったら倒して晩飯じゃな」


「ね、ね、だからもしミミックでも損はさせないよ? 晩御飯のおかずになるんだからさぁ!」


「いやお前エルフ女魔術師、このあいだ『魔物なんか絶対に食べたくない!』とか言ってたろ!?」


「でも、ミミック食べてみたいかも……」


お前戦士はこのあいだもそう言って、オーク食べようとしたじゃないかよ!!」


「言われた通り亜人系はあきらめたじゃんかよ……」


「そう言う問題じゃないって! わざわざ危険を冒してこの宝箱開ける必要ないじゃん!」



「あっ!」




 ガブリっ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

可能性はゼロじゃないんだけどさぁ…… さいとう みさき @saitoumisaki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ