第51話 レトファリックのモーニングルーティン、水泳教室
獅子川らは第2サーバーVARMARD PARADOX、アニープ都電脳城、雲上貝ビルを占拠することに成功した。獅子川らは酒と食べ物を並べ祝勝会を行っていた。
「占拠達成。それじゃあこの電脳城に第2サーバーから来た仮NPCの人間たちを読んでこよう。そして全てのカードを僕らで手に入れて王になろう。」
血潮見は獅子川の提案に乗った。
「よっしゃ。どうせ面白くない奴は第3サーバーに行かせるんだろ。面白そう。」
瀬高は自分の役割について質問した。
「じ、自分はどうすればいいですか。ハッキングをしたいんですが。」
獅子川は瀬高の質問に答えた。
「君のためにハッキング対決でもさせてみたい所だが男ならもっと欲望を出さないとだめだ。」
式部は自分の筋肉をみせながら答えた。
「対決なら俺のためにボディービルダーの大会も開催してほしい。」
瀬高は意外にも欲望に忠実だった。
「後か、金、女、ギャンブルがしてみたいです僕。」
「君らしくなくていいね、瀬高君。」
獅子川が彼らをまとめた。
「各々野望はあると思うがひとまず今日は休もう。勝利を祝って乾杯。」
獅子川がグラスを持つと周りも呼応するようにグラスを手に取った。
「かんぱーい。」
「乾杯です。」
9月12日、場面は変わってリバーライド・シャトール王国
レトファリックはメルノシーミルの部屋からカーテンを開け朝日を浴びていた。
「よし。今日から路上授業頑張るぞ。」
彼の一日のモーニングルーティンはココアを淹れるところから始まる。
人魚だったころもココアが大好物でよく飲んでいた。
ココアを片手にワールドチャット、速報掲示板を閲覧する。
「ええと、今日はどんなニュースがあるかな。」
彼は速報掲示板を見て驚いた。
「え、獅子川 宙炊らたった4名で雲上貝ビルを占拠。獅子川さんは昨日の夜会ったばかりなのに。あの日占拠しに動いたってことか。すげー。」
その後も速報掲示板を見ていた。
「リバーライド・シャトール王国会議にてゼレラミルラムが国王続投に決まるか。なるほどこの人が教師のトップの人か。いずれ超えてみせるぞ。」
匿名ゆえに投稿されたバラエティ豊かな記事を読んでいた。
「ええとあとはレバニーブルをあぶって食べてみた。たたた踊りで盆踊りしてみた。スライムの知られざる保湿効果。へえ面白そうだ。」
レトファリックは、その後NPC専用食料から食パンを取り出し焼き始めた。
「バターが欲しいな。このシャトール王国に売ってるといいな。」
パンを焼いている間にレトファリックは顔を洗い歯磨きをした。
ツキレニーさんに振り向いてもらいたいな。
職場の同僚のことを考えながら髪型をセットして整えていた。
そして焼いたパンを食べ終わり、レトファリックのモーニングルーティンは終わった。
レトファリックは再びメルノシーミルで働いていた。
「3番テーブルに食材を運べ。」
「は、はい。」
レトファリックは今日はウエイトレスとして仕事をこなしていた。
不器用に食器を手に持ち、丁寧に食材を運んでいるとランドローザ姉さんから褒められた。
「その調子だ。レトファリック。」
その日の仕事も昼には終わり、レトファリックは服をしまい始めた。
「今日はツキレニーさんいなかったな。あれから休んでいるのか。」
想いを寄せている同僚が来なかったことでレトファリックは残念な表情をした。
「でもこれから路上授業だ。頑張らないと。」
レトファリックはリバーライド・シャトール王国のメルシー通りに来ていた。
ええとまずは人を集めないと。
「さあさあお立合い。水魔法の使い方を教えてほしい人はいるかな。」
彼がなんとか呼び込みをやっても人は来なかった。
「ここでテーマパークにあるようなびしょ濡れイベントを開始する。水を浴びたいものは集まれ。」
すると宣伝がよかったのか2人子供がやってきた。
「水浴びさせてよ先生。」
「先生がまずびしょ濡れになってよ。」
好き勝手言う子供たちにレトファリックは水魔法を使った。
しかし、あまりにも威力が弱く水鉄砲ほどの水が出るのを子供たちは見ていた。
「うわ。水来た。けど量が少ない。え、噓でしょ。先生。」
「これじゃ水浴びできないじゃん。行こうぜ。」
レトファリックは子供たちを連れ戻そうとしたが失敗に終わった。
「待ってくれ。次こそ十分な水を出してみせるから。」
レトファリックはまた振り出しに戻り、どうすれば35人署名させられるか考えていた。
腕を組み頭を回転させて考えていると、一人の女性がやってきた。
「あの、レトファリックさんですか。」
前を見るとそこにはツキレニーさんが立っていた。
「本当に教師を目指してるんですね。この国を変えるために。」
「ええ。ツキレニーさんどうしてここに。」
ツキレニーは少し照れくさい仕草を見せた。
「あなたに助けられたのでお礼をしようと思いまして。何か手伝えることはありますか。」
レトファリックはツキレニーの言葉を聞いて嬉しくなった。
「やった。じゃ僕の路上授業のお手伝いをしてほしい。どうすれば生徒が集まるか考えてほしいな。」
ツキレニーさんはレトファリックの体を見つめていった。
「多分ですけど魔法はあまり使えないですよね。元人間なら。」
ツキレニーの言葉をレトファリックは修正した。
「僕は元人間じゃなくて元人魚なんだ。仮NPC専用の踊り子のコスチュームをタップしたら人間と同じ扱いをさせられたんだ。」
ツキレニーはレトファリックの生い立ちに驚いた。
「元人魚なんですか。どうりでが泳ぐのが上手かったわけですね。」
ツキレニーは何かをひらめいたかと思うとレトファリックの手を掴んだ。
「水泳教室です。あなたの人魚時代の水泳技術をみんなに教えればいいんじゃないですか。」
レトファリックは突然手を握られ少し照れくさくなった。
「ああ。確かに。じゃあやってみようか。」
「はい。」
数十分後、レトファリックはメルシー通りで水泳教室募集と書かれた看板を手に持ち宣伝を行っていた。宣伝効果もあり15名の子供たちが集まった。
「よし。じゃあ。リバーライド・シャレット・ビーチに行こう。」
レトファリックらはビーチに向かった。
「まず僕の遊泳を見てもらう。みんなゴーグルをしたら海に潜って。」
ツキレニーさんがレトファリックのためにゴーグルを集めてくれた。
「行くよ。」
レトファリックの海中速度を見てツキレニーらは驚いた。
「はやすぎる。」
これでもレトファリックは人魚時代海を潜っている機会は少なかったので泳げないほど筋力は落ちていた。
しかし腐っても人魚。遊泳速度は人間になっても速かった。
海面から顔を見せると子供たちは思わず拍手をした。
「はやい。すごいっす先生。泳ぎ方をぜひ教えてください。」
エルフの生徒からの言葉に彼は嬉しくなった。
「そんなに速いかな。えへへ。じゃあ今度はみんなの番。泳ぐのが得意じゃない子は僕がサポートするから。」
レトファリックは水泳の授業を始めた。
「腕の振り方と息継ぎの仕方が大切だね。腕は肩から大きく回して。息継ぎは口を海面から少しだけ出すように。全身の流れを意識するように。」
「「はい。」」
一人の女の子のエルフが質問してきた。
「あのー。私泳ぐのが上手くなくてよければサポートしてください。」
「いいよ。ビート板代わりになるよ。」
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