第32話 NPCオートビットレナリア登場、ビリヤードルール説明
複雑な気持ちで緋戸出セルの棺を後にしたDESSQユーザーの4人はビリヤード台のようなゲームボードに戻り、squiとの対戦を受け入れ、白いボールを置いた。
〔認証しています。確認致しました。ゲームマスターの弔い感謝いたします、ダイヤの3所持者。これから行われるゲームは、紀元前から親しまれている東方からヨーロッパに広まった格式の高い球技を模したゲームとなっております。〕
〔A BIRIYARD-LIKE GAME USING FONUMEES SKILL BALL。まずは白い手球以外のFONUMEES SKILLを表した9つのボールを中心に配置致します。〕
認証された8つのボールが消滅して、ゲームボード中心にビリヤードを行う際の配置になった。
レトファリックがナインボールのシステムを把握した。
「ナインボール。9番目はダイヤのKINGのsquiという事か。」
〔ゲームの概要を説明致します。ゲームクリアの方法はビリヤードのナインボールと同じ。ルビーの石鳥が描かれた白いボールを手球として私と、スペードの1からダイヤのKINGの玉を順番に突きボールの得点が相手より高ければ勝利。こちらは玉を突くゲームマスターが不在のため、NPCをご用意致しました。旅商人のレナリアです。〕
「こんちは。ビリヤードはゲームマスターに教えてもらったからできまーす。エレミルにいた街の人達はプレイヤーのいない夜中に僕たちNPCと友達みたいに遊んでくれていたんだ。」
旅商人らしい服装で、羽根つきのウエスタンハットにウエスタンブーツ。服に白いマフラーが破れた形で首にかかっており、青いデニムを着た金髪の女性がいた。
田芽助が彼に見惚れた。
「か、可愛いです。ウエスタンな雰囲気ですね。見かけた事は少ないですが。」
レトファリックが田芽助に忠告した。
「おい、ゲームをやる敵だぞ。負けた方は死ぬなんて言われるかもしれない。同情はやめておけ。」
「さっきからsquiとのゲーム、ゲームマスターの消滅、ここまで戸惑う事が多かったけれど、多分今私たちは他のユーザー全体に大きく影響する大事な勝負をしている気がする。殺し合いのつもりで臨むべき。」
「でも可愛い。女性なのにTHE男の服装なんだね。ウエスタンハットは期間限定だった気がする。そのイベント時にいたのかな。」
〔このNPCの名前はオートビット・レナリア。ウエスタン装飾イベントの際の服装でシステムを使い登場させました。女性であるのに男性の服装をしている理由は、当時、エレミルのプレイヤーに誘拐され、システムの及んでいない城の内部で散々な目に遭ったからです。イベントが終了してもNPCは役割を与えられ滞在する事が多く、レナリアもその一人でした。半年が経った頃、最終的にフィールドの範囲外で消滅していました。〕
「そうでーす。あの頃は大変だったなー。」
squiの話した内容とNPCの口調が一致しておらず、Yobase達は口を閉じた。
しかし、レトファリックが彼女がエレミルのNPCであることを知り、レナリアを注視して心の傷を理解した。
「それは悪かった。エレミル兵士の一人として謝罪したい。」
「峰未雨さんは何か悪い事をしたの。」
「…知ってはいない。城の内部に入った事はないから。」
「それなら仕方ないと思います。こうして全てのDESSQユーザーに復讐するほど、我々のNPCに対する行いは良くなかったんです。責任は僕たち全員にありますよ。」
〔それではゲームのルール説明を行います。
・挑戦者側のゲームクリアはトランプのマークに書かれたボールの数字が得点となり、最終的な合計値が相手より高ければ達成となります。
・ビリヤードと同じようにスペードの1から順番に玉を突きます。順番通りではないボールを突いた場合、該当者はお手付きとなります。
・手球を突いた時点で自分のターン終了となります。そのため、自分の陣営の手球を当てて落下させたボールは相手のターン中であっても、自チームの得点となります。
・白い手球が穴に落ちた場合、白いボールをゲームボードの中心に置かれ、相手がその白いボールを落とした場合、該当者に10得点与えさらに、白い手球はお手付きとなります。なお、白い手球を落とした状態ではお手付きにはなりません。
・白い手球を所定の位置に置かれる前に、対戦のために支給される道具がボールに触れた場合お手付きとなります。
・ゲーム中、対戦相手にゲームの続行が不可能と判断される程の負傷させる行為は過剰な妨害とみなし、ゲームへの参加を禁止致します。また、対戦相手のターン中、相手の肉体に危害を加えて進行を妨害する行為もルール違反となり失格となります。
・ゲームボードと手球と各ボールはメニュー画面に表示しました。これを対戦時に使用致します。ルールに記載されていない事項も記されているため、ぜひ触ってご確認下さい。
・そのほかのルールに関しての質問はオートビット・レナリアが受け付けております。〕
Yobaseはメニュー画面を操作して確認した。
「手球からの推定コースも書かれてる。これは便利だな。」
〔続いて、最も重要なゲームの達成報酬をご説明いたします。報酬はゲームマスター緋戸出セルの重大な音声データになります。DESSQの新アップデートNONUMEESGAMEにも関わる情報となります。〕
「緋戸出セルは音声データを残して消滅したってこと。」
「ゲームマスターからの情報は貴重です。重大な情報なら現実世界に戻る方法が分かるかもしれません。」
〔また、追加の条件付き達成報酬として最後のダイヤの3該当Non player clown FONUMEE SKILLの〔
「ダイヤの3のFONUMEESはもう一体いたんだ。私は剣戟でのし上がりたい。けど、squiが敵になったりするなら特別なスキルを手に入れてみたい。」
「FONUMEES SKILLは絶対私でしょ。峰未雨は自分の身を守れるんだからカードのスキルは要らない。私のスキルは近距離が弱いから奇襲にでも遭ったら終わり。」
「鯱千。ごめん、遺跡を駆け下りてる時カードのスキルは強いと思ったからやっぱり欲しい。」
レトファリックはペナルティの軽さに嬉しく思った。
「よっし。ペナルティが一時的な使用禁止だけか。良かった。」
Yobaseがこれは重要な機会だと悟った。
「ゲームに負けたら死ぬ訳じゃなさそうだ。また、あのボスモンスターに捕食されなくてもまた5人でこの会場に来ればいい。これは絶好の機会だ。」
〔注意事項、ダイヤのKINGにsquiよりゲームマスターの音声データを格納致しました。そのため、ゲーム中、ボールが破壊される、紛失した場合、挑戦者側の敗北となります。その場合ペナルティに沿って転送いたします。〕
「鯱千、ビリヤードでボールって破壊されるの。あんまりやった事ないから知らないだけか。」
「あり得ないし聞いたことない。ビリヤードで使うキューじゃボールは破損しないはずだよ。」
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