第3話 恩に報いる
今までの様な力は無くなり、なぜか心も穏やかにアンナの側で暮らしていくうちに俺にはこうやって暮らす普通の生活を送る資格があるのか?。過去の記憶までは消えてはおらず、己の赴くままに力を行使し、時には非道とも思える行動を取った過去に慙愧に堪えぬ思いで、胸が苦しくなることがあった。
そうしたある日、祖母の容体が悪くなった、アンナが思いつめた表情で近づいてくる
「バベル様しばらくここにいてもらえますか?」
「どこか行くのならついていくぞ」
「噂にきくどんな病にも効く湧き水があるところへ、ただそこは森の獣王の住処で、 かなり危険なところなんですが・・・」
「だったら俺も行こう。」
「でも今のバベル様は・・・」
「ふざけるな、お前よりは強いつもりだ、元暴勇バベルだぞ、フフ。」
「でも今のバベル様の状態で、命をかけてまで行く理由が・・・」
「いいかげんにしないと怒るぞ、困ったら助けを求めろよ!そんな危険な所にお前ひとりで行けるはずないだろ!」
・・・・沈黙とアンナの頬に涙が流れる・・・
「・・・助けてくださいバベル様・・・どうか力を・・・」
「それでいい、場所は分かってるのか?」
ここ数日アンナは調べていた噂の泉について、どこにあるのかどんなに危険な所かを・・・ そこに行きつくにはいくつかの危険な場所を通らなければいけなかった 。
アンナは命を懸ける覚悟を決めていた。どうしても守りたい者のために。
「婆さんの容体考えたらすぐ行ったほうがいいな、今すぐ発つか?」
アンナはおばあちゃんの様子をみる、まだ間に合う。 そう考えたアンナは今すぐ発つことを決めた 。
「おばあちゃん少しの間待っててね」
~第一の難所ゴブリン峠 ~
ゴブリン一匹ずつは大したこと無いが群れになると少し厄介だ 。群れになるとゴブリンウオーリャーにマジシャン弓使い等。 ゴブリンリーダーがいた場合今のバベルに勝てるのか厳しいかも知れない・・・。
さすがの生まれ持った格闘センスと数日の薪割りで斧の使い方は抜群だった 。
「ゴブリン程度このバベル様の敵ではないわー!」
「バベル様、あまり調子にのらないように。」
バベルのすぐ調子に乗る癖まではまだぬけてなかったようだ・・・
バベルは颯爽とゴブリンを斧で蹴散らしていく、ゴブリンの集落をだいぶ突き進んできた先に そいつは待ち構えていた。ひときわ大きなゴブリンがいた。ゴブリンリーダーだ。
「ゴブリンリーダー出やがった、ん?、あいつなんか光ってないか?」
「光っては見えないけどゴブリンのリーダーっぽいですね。」
その時バベルの右手が光って反応した。
(あいつ俺の力をもってやがる)
直感で感じたバベルの力を受け継いだゴブリンリーダー。バベルには【バベルの力を受け継いだ者】を見たとき、その力の光が見えるようだ 。
「俺の力返してもらうぞ」
もちろんゴブリンリーダーはそれに応じない、ならば力ずくでとりもどすだけだ 。颯爽とゴブリンリーダーに斧でとびかかるバベル、さすがにリーダーにはまともに斧が通じない。リーダーとの攻防が始まる・・・持ち前の生命力でなんとか耐えるバベル。
決め手がないのだ・・・チラッとアンナの方を見るがさすがに俺がいるために弓を
ためらってる様子だ、『射貫け』アンナに向かって大きく口だけ動かして合図した。
バベルがリーダーの気を引き付けてる間に横から弓で急所を射貫かせる 。
最初っからリーダーはアンナを敵戦力に見てなかった単なるうまい食料くらいにしか・・・ 。アンナがこっそりリーダーの死角にまわりこみ、ひっそりと息をひそめ弓を構える 。
・・・今こそ修行の成果を・・・
その研ぎ澄まされた矢は一直線にリーダーのこめかみを貫く。
ゆっくりとリーダーの体は倒れていった・・・
「やったわ!」
「よくやったなアンナ」
『俺の力かえしてもらうぞ』
その言葉に反応して光がリーダーからバベルに飛び移っていく。
__テッテレー【バベルでこぴん】獲得__
頭上にそんな文字が輝く・・・
「くっそハズレだ、デコピンかよ」
だがそのデコピンの威力はすさまじかった。大木に向かって打てば大木がへし折れ薙ぎ倒れるほどの威力だった・・・まぁ無いよりかましか 。
(なんであいつこれ使わなかったんだ・・・使い方知らなかったのか?。)
そう技とは、その使い方を理解しイメージできなければ発動しない。
そのため、見たことのない技は使えないことが多いのだ、イメージが湧かないから。そして二人は先を急いだ 。
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