現在からタイムスリップして平安時代の宮仕えの暇つぶし方
MERO
現在からタイムスリップして平安時代の宮仕えの暇つぶし方!
私は部屋の中を膝立ちでにじり歩きで移動した。
「
他の女房は動きながら、後ろでもたもたしている私に向かって言った。
くすくすと笑い声が聞こえ、扇子で顔を隠しながら優雅に目的地に向かっている。
平安時代のお姫様方の動きに感服しながら心の中で呟く。
私のいた令和の時代にこんな歩き方ないもん。
そもそもお屋敷が無駄に広すぎるのがおかしいんじゃないの。
「
必死に歩いて、なんとか目的地である部屋に辿り着き、一緒に
「お言葉を返すようでございますが、
「わたくしがこちらに伺わなければ暇になって退屈と思いませんか?」
「そうねぇ、
「であれば、この馬鹿長い廊下をどうにかするか、考えなければなりません」
永子様は双六のサイコロを振って出た目分、駒を動かしながら答えた。
「そんなこと考えたこともなかったわ」
「わたくしはいいですよ。こちらにくるまでに日が落ちてしまってまた半日かけて部屋に戻るでも」
私はサイコロをころころしながら、タイムスリップ前に住んでいた家が親が建てた注文住宅だったので生活導線がだいぶよかったことに今更ながら気が付いた。
「
うーんと唸って考える私にふふっと永子様は笑った。
「
そう言うと他の女房が(私が動けない分)そそくさと
一人は寂しいと私が呼ばれたわけであるが、私はちょうどそのタイミングでこの時代にやってきた。
宮中の慣れない生活を営むことになった永子様とこの時代の右も左もわからない私はすぐに意気投合した。
まぁ、平安時代の遊びが仕事みたいな中で私のよくわからない話は彼女の恰好の暇つぶしであっただけであるだろうけれども。
だから私は存分に私が知っている令和の世界について、この時代にはないものを彼女に伝える。
私は令和の世界からみてもウサギ小屋だったかもしれないが、生活に必要なものだけを詰め込んだ合理的かつ外の温度に強い家を思い出し、それらを筆で白いとはいえない、
横からずっとじっとみていた永子様が言う。
「見たことのないような、小さき屋敷ですわね。これでは使用人の寝る場所もございませんわ」
鋭い指摘に私はハッとした。
この時代の大きな大名には必ず使用人が多数いる。彼らには寝るだけの家はあるが、場合によっては屋敷でも待機することがあるのでそのような部屋は必須であった。
「この小さな箱はなにかしら」
「こちらはお召し物を入れたり、物を片付ける場所でございます」
「それは便利ね。私は着物を飾るのは趣味じゃないわ。まぁ、頂くものが多すぎることが問題なのかもしれませんわね。ただこのような場所があれば飾りたいものだけ飾ればいいから、どこかに作りましょう」
「そうですね、
「そう言われ見れば……他の者たちはどのような屋敷で過ごしているのでしょう?」
「
そういってその場で住宅の内見はできないこの時代ならではの、
頭の中で、女房のいる部屋が仕える
現在からタイムスリップして平安時代の宮仕えの暇つぶし方 MERO @heroheromero
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます