小説 KAC2024 住宅の内見

永嶋良一

KAC20242 (住宅の内見) 参加作品

のこ様「はちにんこ」

ボク 「いらっしゃいませ」

のこ様「住宅の内見に来ましたよ」

ボク 「それは、それは・・どうぞ、ご案内いたします」


ボクは、のこ様を内見にご案内した。


ボク 「のこ様。こちらのおうちは、本物の温泉が引いてあるんですよぉ」

のこ様「それはいいわねぇ。毎日、スッポンポンで楽しめるわね」

ボク 「えっ、のこ様は、スポーツにひたすら打ち込む努力や根性がお好きなんですね」

のこ様「ボケ! それは、スッポンポンやのうて、『スポ根』や」

ボク 「あっ、建築現場で使われる、コンクリート打設時の仕切りに用いるスポンジのことですね」

のこ様「ボケ! それは、建築現場の『スポコン』や。てか、建築現場の『スポコン』って、誰も知らんやろ、ボケ」

ボク 「ああ、分かりました。走行性能の高いコンパクトカーのことですね?」

のこ様「ボケ! それは、自動車関連の『スポーツコンパクトカー』を略した『スポコン』じゃ。うちが、言うてんのんは、スッポンポン。スッポンポンちゅうのんは・・・もう、うちが見しちゃるわい」

ボク 「のこ様、ここでスッポンポンにならないで・・・」


ボクとのこ様は、家の外側に回った。


ボク 「・・・で、このおうちですが、このビスとひさしに特徴があるんでぇすぅ。温泉のお湯が、ビスと庇に当たって、いい感じでしょう♪」

のこ様「でも、このビスと庇って、ちょっと長いんじゃないの?」

ボク 「温泉のお湯のせいなんです」

のこ様「はぁ? お湯のせい? 何と言うとんねん、このボケ! 冗談は顔だけにしといてや」

ボク 「ですから、少し人差し指が長い感じです」

のこ様「はぁ? 人差し指ぃ? それって、なんじゃらホイ?」

ボク 「ですから・・

    少し人差し指が長い感じです・・

    少しひとさしゆびが長い感じです・・

    (少し)ひと(さし)ゆび(が長い感じ)です・・

    入れ替えて・・

    ゆで(少し)ひ(さし)とびす(が長い感じ)・・

    湯で、庇とビスが長い感じ。。。」

 のこ様「ぎゃび~ん!」


           〔おしまい〕

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小説 KAC2024 住宅の内見 永嶋良一 @azuki-takuan

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