第3話 ブラコンですがなにか?
私は、「薔薇恋」のコアプレイヤーだ。
だから、裏ルートも、ガッツリ攻略した。
だから、知ってる、誰が攻略キャラなのか、も。
いかん!
それはいかん!
他のイケメンは、まあ、いい。
ぶっちゃけ、フレデリック様も、許す。
でも、あの方は、ダメ!
絹のごとき黒髪に、紫眼の一族で時折生まれる初代と同じ柘榴のような深い紅の瞳。
幼い頃負傷して出来た右頬の傷を隠すため髪の毛で覆っていて、王都にきた時他の貴族の子供にそれをからかわれて引きこもり気味になって。
傷がほぼ癒えた今も人間不信気味で素顔をさらせなくて、カタメカクレな
傷が出来ても変わらず自分を慕ってくれて妹を溺愛していて、王子との婚約に最後まで反対していたけれど、妹の親友として現れたヒロインとやがて恋に落ちる、という、まず妹攻略が必要という、なんともめんどくさいルート。
嫌だね、誰が攻略されるもんですかっ!
大切な大切な、うちのお兄様に!
指いっぽん触れさせるものですかっ!
ビジュアルみた時に、一目で恋に落ちたんだからっ!
黒髪長髪赤瞳カタメカクレの翳りのあるイケメンとかっ!
ツボ過ぎるっ!
例の舞踏会で、ミレーネのそばにいて、チラッとしか出てなかったけど、絶対隠しルートの攻略対象だって確信して、必死で全ルート制覇したんだからっ!
とはいえ。
貴族の子として生まれた以上、家の存続は必須条件。
溺愛されているとはいえ、実の妹である私は妻にはなれないのだ。
そんなヤンデレルート……ふむ……それはそれで美味し……イヤイヤ!
せめて、ヒロインが、設定通り、天使のような明るくちょっと天然だけど癒し系なら、考えてあげなくもない。
かつては自分もプレイしたキャラだ。
そこそこ愛着はある。
でもっ!
なんとなく本能で分かる。
あの手の女は、裏がある。
だって、自分でプレイしたんだもんっ!
常に最適解の選択悩みながら、好感度上がるように考えてきたのは、他でもない、ワ・タ・シ。
ヒロインが高等科に編入してくるまで、あと3年。
追放劇が起こるまで、プラス1年。
その間にイケメン達を愛でつつ対策練って、ヒロインの本性見極めて。
マジ天使なら、攻略されてやっても、いい。
でもっ!
予想通りの天使の皮を被った悪魔なら、絶対許さん!
フレデリック様を熨斗つけてとっと押し付けて、私はお兄様のいる領地に帰るんだからっ!
それで、領地の身分はそれほどでなくても可愛くて優しい女の子見つけて、義理の妹として見守って余生を送るのさっ!
最悪、親族から養子迎えて、兄妹ふたり穏やかに過ごすのもいいよね?
ね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます