第10話 囲まれた!!!

 あるーひーー、もりのなかーーー、くまさんにーーーー


「囲まれたーーーーーーー!!!」


 黄泉はミーナと手を繋いでベアルピス村へと行く途中、5体の熊と遭遇する。その熊達はミーナのような(可愛い)獣人ではなく、黄泉の世界にもいたしっかりとした動物の熊である。ただ違うのは常時二足歩行で会話が通じることだ。


「ミーナよ、こんなとこにいたか。もう逃がさんからな!ん?なんだ貴様は?」


「あ、え、俺ですか?あのー伊集院黄泉と言いますが、えーと、何の御用件で?」


「いじゅ、いじ……貴様はそいつの護衛か?ヒューマンにしか見えんが?ただの冒険者なら大人しくミーナを渡してもらう。そうすればお前は見逃してやろう」


 あ、伊集院っていえなかったのね。ミーナもだったけどこの世界じゃ聞きなれない言葉だったのかな?

 そんなことよりミーナのことである。渡せと言って来る熊達に怯えるミーナをそう簡単に渡す訳にはいかないが……でも一応理由は聞いとこう。


「理由聞いときたいんですけど?親…じゃないですよね?見た目全然違うし……誘拐とか?」


「お前に関係ないことだろうが!黙って渡せ!!!」


「!?」


 熊は理由も言わず襲いかかってくる。熊は巨体であるにも関わらず、素早い動きを見せる。大きく振り上げた毛深い腕を一気に振り下ろし、その先につく鋭利な爪は俺が手に持ってた持ってたコーラボトルを真っ二つに裂く。


「こうなりたくなければ大人しくしてろミーナは俺たちが連れていく」


「…………」


「ふん、怖くて何も言えんか。ヒューマンごときが一丁前に……ん?なんだ?」


 …………………あれ?なんか……意外と動き見えたぞ?速かったのは分かるけどなんか……全然避けれそうな気がする!これって神様のおかげなのかな?すごいな能力調整!多分熊相手でも戦えるぐらいの調整になってるんじゃないか?とすれば


「な、何をしてる!?貴様、まさか魔道士か?」


「ちょっと待ってねー今探してるところだから」


「みんな距離を取れ!何か仕掛けてかるかもしれん!!」


 なんか魔道士がどうとか言いながら離れて行くけど、多分こいつらマンデーのことを言ってるな?確かに魔導書っぽい見た目はしてるけど。まあいいや。えっと、えっと……あ、これだこれ。


 熊達は魔法の発動をかなり警戒していたが、異世界転生間もない黄泉に魔法が使えるわけが無い。

 なら何をしているか。今日発売の週間少年マンデー人気ヤンキー漫画、『やったれ、船橋くん』を熊たちが構えている前で堂々と探していた。


「ふんふん、足を持って……周りを……よし。」


「呪文をとえな終わったぞ!気をつけろ!!」


 黄泉は漫画を読み終え、本を閉じる。そして読んだその内容を実行に移す。後ろに仰け反る熊達目掛けて黄泉は突っ込んで行く。


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