第8話 ある日~、森の中~~

 一度真っ暗な洞窟に戻り、家だった場所に帰る。真っ暗な部屋で椅子に座り、頭を抱える。


「俺が思ってた異世界転生とちがーーーう!」


 洞窟の中だからだろう。家の外からちがーうと反響してるのが家の中まで聞こえてくる。


「ここにいてもしょうがない。とりあえず外出て、マンデー読みながら考えよう」


 俺は真っ暗な中、机に置いてあった漫画を手探りで探し、続きを読むため再び外に出ることにする。


 外に出かけて途中で喉が渇いたら嫌だからと冷蔵庫の中をまさぐってはみたが、予備校帰りにマンデーだけ買って家に帰ったのを思い出した。水道水でいいかと考えた数時間前の自分が許せない。でもこんな水道も使えない状態になるとは思ってなかった過去の自分に怒ってもしょうがない。


 異世界での冒険だから川の水とか飲めばいいでしょと思い、家を出て、今俺はマンデー片手に森を探索する。探索するが.........


「なんも見つかんねーじゃん」


 何時間歩いてきたのか分からないがだいぶ森を進んだはず。それなのに川もない。人もいない。動物も見当たらない。あるのはただただ大きな木が沢山。


 予備校の授業中から何も水分を取っていなかった俺はすでに喉がカラカラの瀕死状態になっていた。


「神様~、見てる~。俺、今、転生初日で干からびそうだよ~。助けてよ~」


 転生して一日目で干からびて死にかけるって。漫画の主人公のようには行かないんだな.........






 状態異常の感知。水分低下が危険値に達しました。

 非常事態のためオート検索を開始します。





「え……誰かいる?」


 周りを見渡してみるが……誰も見当たらない。喉が乾きすぎて幻覚まで聞こえてきたのかと思っていると






 検索を終了。直ちにP45P2Rの発動を行います。






 また声がする。呪文?いや、呪文なのか?ヘンテコな英語と数字の羅列が聞こえてきた。


 呪文のようなものが聞こえた直後、ボトッと音が鳴ると同時に、手元に何かが落ちてきたのに気づく。ふと手元を見るといつも家で見ていた、黒い液体の入った赤いラベルのついたプラスチックボトルが転がっていた。黄泉はしっかりと目を開け、そのラベルを読む。


 炭酸飲料『よかコーラ』。


「……嘘だろ!なんでコーラが落ちてんだよ!!」


 俺は幻覚かと思いながらもそのボトルを手に取り、蓋を開け、口にやる。甘さがあり、喉の奥でシュワシュワする液体。間違いなく俺が知ってるよかコーラの味である。


「…………え?そんなことある?」


 都合よく落ちてたコーラを見つめながら黄泉は、頭の上ではてなマークをたくさん浮かべるのであった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る