第5話 人形にナイフを突き刺す
この目の前に広がる
それなのに、わざわざ熱愛報道の記事を読んでは怒りを募らせていた。
間もなくして、悠汰が熱愛を認めた。
朱莉は模型製作で愛用していた刃先の小さなナイフを右手に掴むと、横たわる悠汰の模型に力任せに突き刺した。
「私の時間とお金を返して」
ナイフを抜き取り、再び刺した。
「私の愛情を返して」
もう一度刺した。
そのナイフでは物足りず、朱莉はキッチンから包丁を持ってくると、繰り返し悠汰の人形に突き刺した。
片腕が取れ、見るも無残な姿になっていたが、それでも朱莉は手を止めなかった。
次第に、
朱莉はそれに快感を覚え、何度も何度も刺した。
時々、刃の先が骨のようなものにぶつかる。
朱莉は、それを貫くように、手に力を込めた。
その時、人形が「うっ」と声を漏らしたように感じたが、そんなバカな、と朱莉は鼻で笑うだけであった。
そして、人形から包丁を抜き取ると、柄を両手で構え、大きく息を吸った後、
「死ねぇぇぇっっっ!」
と、とどめを刺すべく頭上から振り下ろしたのだった。
次の瞬間、悠汰に似せた頭が、ぽろりと胴体からはずれた。
「……っ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます