第15話 隠れ家(隠れてない)

部活も塾もない日が重なった時は奈恵、小麦、小桃、めいちゃんの吹奏楽部組と一緒に帰る。改めて考えると私の友だちの吹奏楽部率がえぐい。

「マーァァジで小桃ズルいぃぃ」

そして小麦&小桃ハウスの前で喋り倒すのだ。

「ホント小麦は古屋が好きだよね」

「わしも自分で引いてるわ」

めいちゃんは恋に生きる乙女だ。こうして人の話を聞くのも好きだし、自分の話をするのはもちろん大好き。

「私も今さ、公延きみのぶと両片思いだと思うんだよね〜」

公延はいわゆる"頭の良い眼鏡"…に止まらず、高身長、運動神経良し、顔はハリーポッターに若干似てるというスーパーボーイ。私や青と同じく学級委員で、青と同じくモテる。後半部分も仲間に入れてほしかったかった。

めいちゃんはそのスーパーボーイといわゆる"いい感じ"なのだ。

「LINEは続くし、たまに通話もするし、これは確定」

小麦はズルいとかを超えて師から教えを仰ぐ弟子のような瞳でめいちゃんを見ている。

「やっぱり駆け引きが大事ね」

「駆け引き…」

弟子はごくりと唾を飲んだ。

「いやでもさぁ、クラス一緒じゃないのやっぱきついってぇー。去年もっとカケヒキすればよかったぁ」

深刻そうな顔は3秒で限界なようだ。

「小桃ズルいぃぃぃ」

原点回帰。先生方、背後にお気をつけて。

「小麦だってズルいよ」

先ほどから何か言いたげだった小桃ちゃんが言った。

「あそっか」

「えー!?なになにもしかしてぇ?」

私や奈恵と違い、めいちゃんは本当にこういう場面で盛り上げるのが得意だ。

「…」

「言いたくないなら言わなくていいんだよ」

黙ってしまった小桃ちゃんに奈恵が逃げ道を提示した。

「いや言うっ」

小桃ちゃんは小さく息を吸った。

「私、4組の真琴まことが好きなんだ」

「かっこいいもんね!!」

めいちゃんの声と、夕方のチャイムが聞こえた。

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