内見で即決!?新しい「公然の秘密基地」

熟成二段仕込み

オーナー戦隊☆賃貸ジャーの司令官

「ここに決めます」


登場人物が1行目で部屋を決めてしまった。それは作者がせっかちだから、だけではない理由があった。


マンションの一室。そこにいるのは内見に来た客と不動産仲介業の担当者。


「もう決めたんですか」

「ここにします。私にはゆっくり部屋を選ぶ時間がないんです」

「それはなぜです?」

「先週の『オーナー戦隊☆賃貸ジャー』ご覧になりました?」

「はい。賃貸ジャーが『妙なNPO法人♡海鮮社中』の『公然の機密基地』に突入して壊滅的な打撃を与えた回ですね」

「私、海鮮社中のお頭なんです」

「あ、鮪小町さん!」

「私と勘定奉行の丼だけは脱出に成功したのだけど、怪人の釣坊主や戦闘員のスズキ1号らを失ってしまって」

「大変でしたよね」

「でも復活の呪文を使って、釣坊主を『釣坊主』として復活させました」

「新の位置」

「戦闘員のスズキ1号らも、復活の呪文を使って『スズキ1号』として復活させました」

「なんか、スズキシンイチロウみたい」

「メンバーはこれで良いとして、早く『公然の秘密基地』を探さないといけないんです」

「だから新の位置」

「ごめんなさい、今日の私、どうかしてる」

「いずれにせよ、時間をかけて条件の良い所に決めたらどうです?」

「それでは今週の放送に間に合わないんです」

「『オーナー戦士☆賃貸ジャー』って撮って出しなんですね」

「だから早く契約をお願いします」

「でも、大家さんが何とおっしゃるかな」


鮪小町は顔色を変える。


「『妙なNPO法人♡海鮮社中』がこの部屋を『公然の秘密基地』にしたら困る、とでも?」

「いえ、実はこの部屋の右隣は賃貸ジャーの赤賃貸さんのお部屋なんです」

「逆に良いじゃない、灯台下暗しで」

「いえ、この部屋の左隣は賃貸ジャーの青賃貸さんのお部屋なんです」

「逆に良いじゃない、知らぬが仏で」

「それがそうもいかんのです、ここのマンションの大家さん……」

「それがどうしたの?」


「賃貸ジャーの司令官なんです」


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内見で即決!?新しい「公然の秘密基地」 熟成二段仕込み @Niiza_Chuo-ku

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