前のエピソード――八月三十日

　拝啓、いかがお過ごしでしょうか。夏も終わり始めているとはいえ、まだまだ冷房が活躍しています。お姉様は外に出かけてばかりのパーリーピーポーでしたから、どこかの繁華街で倒れていないか心配です。救急隊の方々も熱中症なのかアルコール中毒なのか区別がつかないでしょう。周りの迷惑を考えた、大人の飲み方をされていることを願います。

　さて、先日のお返事についてですが、さらにマイホームの希望を追加で書かれているのはどういうことでしょうか。まさかマイホームを本当に弟に探させるつもりですか？

　正気ではありません。そういうのは内見に行って自分の目で確かめるものでしょう。点数表を作成してメールに添付してこないでください。弟に家の採点をさせないでください。点数をつけたいなら、自分でつけろ！

　しかも映像を取ってこいだの、見取り図との齟齬を報告しろだの、絶対に内見の予定時間を事前に報告しろだの、注文が多すぎます。とても人にものを頼む態度とは思えません。

　いいですか？　私はあなたの部下ではありません。もうお互い成人しております。わざわざメールを打ってやることがこれですか？　無理難題を言って弟の気を引きたいのでしょうが、いい加減ブラコンは卒業したらいかがでしょうか。

　何度も言いますが、私にはお姉様に従う義理がございません。一昨日きやがれ。