君に出逢えたおかげで

@beru08

1話 一目惚れ

それは、高校受験の日だった。


雪が降る朝、親にお出迎えされて玄関を出た。


私立受験を含めれば3回目の受験、この緊張感にはなれない。


なんてったってこの高校に入るために3年間勉強を頑張ってきたのだ。


落ちたらどうしよう、という不安の気持ちは捨て、絶対受かる!という気持ちだけを胸に電車に乗り、受験する高校へと向かう。


バスに乗っている時間は、英語がたくさん書いてある単語帳を読み、少しでも点数を上げるため、受かるためとにかく必死に暗記できているかを確かめる。


『よし、全部覚えてる!完璧だ。』


と心の中で言葉を放ちながらまた読み進めていく。


僕は英語が苦手だが、毎日コツコツ文法を覚えたり、単語を暗記していたおかげで克服しつつあった。


英語で点数が取れれば凄く大きい。


それに点数が取れれば今までの努力が報われる、報われてほしい。


あとは自分がしてきた事を発揮するだけ。


そう考えてるうちに学校付近のバス停に着いた。バス停からは高校が見える、ほんとにすぐそこだ。


受験にはまだ時間があるが早く着くことに越したことはない。そして学校の敷地内へと入る。

外靴を脱ぎ、上靴に履き替える。


そして、受験票を担当の方に見せる。


「遠宮 春さんですね!受験会場は、そこを真っ直ぐいって…」


と説明してもらった。


「ありがとうございます。」


と僕は言いその受験会場の教室に向かった。


教室に入ると何人か人は居たが、僕が学校に着くのが早かったこともあり、まだ少なかった。


自分の指定された席を見つけ、受験に必要な筆記用具などをカバンから出し、席に座る。


そしてまた、単語帳を読み始める。


どれだけ英語やれば気が済むの?と思われてしまうが、それほど英語が苦手なのだ。

そしてまた読み始めると、隣の窓側の席に人が来た。


『当たり前だけど受験受ける人かな。』


と思い隣を見てみると、黒髪のポニーテールで二重の女性がいた。


『絶対ロングも可愛いんだろうな』


受験のことよりもそんなことを考えてしまう程に美しい。それに、こんなに雪が似合う人がいないと思えてしまうほどだった。


いわゆる美女ってやつだ。


僕の初恋は一目惚れから始まった。



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