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「オラー、てめー、ゴウっ! なに寝てんだよ、ぼけっ! らくに死ねると思ってんじゃねーぞ」


「(グハハハハハハハハ)」


 触手の悪魔が笑う。


「ゴウっ! てめーは、そんなものも持ちあげられねーのか」


 ぼくは悪魔の笑いを無視してなおも大きく叫び続ける。


「てめーはいつも、えらそうにしてるじゃねーかよ!」


 闇の空間にぼくの叫びが虚しく響く。


「この……非力ヤローっ!」


 ぼくがそのセリフを口にしたとき。


 奇跡が起こった。


 意識を失い、完全に沈黙してたゴウの顔がわずかにぴくりと動いたのだ。


 そして。


 ゴウが立ちあがるように身体を起こした。のっぺりしたピンクの皮膚が引っ張られ、悪魔本体の表面に人間大のこぶができる。


「(ウガ……?)」


 意識はあるのかないのかわからない。


 だが、ゴウは確実に身体を起こし続ける。


 悪魔のピンク色の皮膚がゴウの形に伸びていく。


 そして。


 ずるんとゴウの身体がピンク色のなかから抜ける。胸が露出し腹が露出し、ひざくらいまで露出する。今はもう、足だけがピンクのなかに絡みとられているのみだ。


 しかも。


 その動きにコアの位置は連動してない。ピンク色の本体に黒いコアだけが残り続ける。


 ゴウの身体が、コアを残して露出した。


 その瞬間。


「(グア……?)」


 ぼくの身体を締めつけている触手の力が一気に弱まった。


 ゴウの身体が半分以上、悪魔のなかから抜け出して、エネルギー源が断たれたからだろう。やつの触手は今はもう、ぼくの身体に力なくまきついている程度だ。


 今だ!


 ぼくは触手を振りほどく。


 手足を動かす。


 大丈夫。腕も足もまだ動く。


 触手のなかから抜け出して、足もとの別の触手の上に着地。


「出てこい、ユメ・ブレード!」


 再度、右手に光の剣を発現させる。

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