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「くせーんだよ!」


 ぼくは振りそそぐ悪魔の体液を全身に浴びながら、宙空を飛びまわり本体との距離を詰めていく。


 触手の群れは切ってもきっても減る気がしない。再生するし、だいいち数が多すぎる。次から次へとキリがなかった。これじゃあ、いつまでたってもゴウの身体に近づけない。


「じゃまだ、どけっ!」


 スピードをあげながら、ユメ・ブレードを縦に横に、おもいきり薙いだ。


「(ウギャアアア!)」


 目のまえの一本を根元から断ち切った。


 茶色い体液が撒き散らされる。


 触手の陰に隠れていたゴウの姿があらわになった。


 よし。もう少し!


 ぼくは思った。


 そのとき。


 ぼくの視線が、それをとらえた。


 それは、探していたもうひとつのもの。


 悪魔を消滅させるために、破壊しなければいけない唯一の弱点。


 悪魔のコアだ。


 「うそだろ」


 そのコアを見つけて、ぼくは喜ぶことができなかった。


 なぜなら。


 悪魔のコアは、最悪の場所にあったからだ。


 ゴウの胸の上。


 さっきまで、そんな場所になかったはずなのに。


 ぼくが触手と奮闘してるあいだに悪魔のコアが癒着したのだ。先ほど最後に確認したときには、下半身しか埋まっていなかったゴウの肉体は、今では胸の上までピンクのなかに沈んでる。


「くそっ」


 そんなゴウの胸のまんなかで、悪魔のコアが宝石みたいに光っていた。

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