16
次の日。
「起きろー。メイヤー。時間だよー」
遜色ないいつもの朝だ。
母さんの声が、寝ているぼくの頭の芯にびしびし響く。
うーん。あともうちょっと……
「いいかげんにしなさいっ!」
母さんがぼくの手首を、がしっとつかんで無理やり起こす。ぼくはベッドに座らされる。
あのさ、ぼく、二日も連続で人の命を救ったんだよ。ちょっとくらい寝坊したっていいじゃないか。
心のなかで反論するが意味がない。ぼくの家には古代インドのカースト制度が根づいている。
「ほらっ。さっさと顔洗って学校行く! どうしてあんたは、毎朝こうなの?」
「どうしてって言われても、それはぼくが……」
「ぼくがなに?」
「なんでもないです」
夢のなかではヒーローだって言ってもどうせ伝わらないか。
「はいはい。わかりましたよーだ」
ぼくはふてくされて、学校に行くしたくを始める。
いいです。どうせぼくはダメなメイヤです。
誰一人、ぼくのことはわかってくれない。
なんだかむしょうに、泣きたくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます