許嫁に浮気されて裏切られたので落ち込んでいたら大変な事になった
アキノリ@pokkey11.1
第一章 お姉ちゃんが浮気したのなら関係無いですよね
傾く世界
第1話 裏の鐘が鳴る時(改稿終了)
高校3年生の癖にやる気が全く起こらない。
それよか何も手が付けられない。
まあこのやる気の出ない原因は分かっている。
俺は考えながらふて寝から大欠伸をしてから起き上がった。
それから周りを寝癖がついたままだろうけど見渡す。
あの笑顔。
佐伯海(さえきうみ)。
本当に常に笑顔の絶えない様な栗毛色の美しい長い髪の女の子。
決して裏切りは起こさないと思っていた俺の許嫁だ。
佐伯家の義姉の...長女の立場で許嫁。
俺の名前は瀬戸内洋二(せとないようじ)。
名前が俺達は海関連なのでお互いに将来は海の様に大きな存在になろうと約束したにも関わらず大変な事になった。
佐伯海は何と浮気した。
というか正確には俺含め3股をしていた本当に救いの無い野郎だった。
絵を...あんなに凄い絵を描いているにも関わらず。
酷く俺はショックを受けた。
しかもそれを教えてくれたのは海の義妹に該当する佐伯双海(さえきふたみ)だったのだが俺は頭を抱える事態になってしまった。
見知らぬ男との浮気している動画もあった。
写真もあった。
見知らぬ男と...次々にどっか行っている写真。
それからあまりのショッキングに俺は寝込んでしまった。
で、今に至る訳だが。
俺はショックで浅い睡眠でしか寝れない。
今は15時である。
まあふて寝という形を取ったのが悪かったな。
あまりにショックがデカすぎるし。
困ったもんだ。
「...」
3月の上旬の今日。
少しだけ外の肌寒い景色を。
風でガタガタいう外を目にしながら考え込む。
それから起き上がった。
そしてガラス戸が鳴る音を聞いて「コーヒーでも飲むか」と思いそのまま一室でガスコンロの火を動かす。
俺は1人暮らしだ。
その理由は...と思いそのままコーヒーを淹れようとした時だった。
インターフォンのベルがビーと鳴った。
俺は「?」を浮かべて「新聞屋か?」と呟きながらドアを開ける。
するとそこに黒髪のロングの女子が居た。
その顔はニコニコしている。
俺を見ている。
そして前髪に2つの海の風景の形をした髪留め。
海に負けず劣らずの究極の...美少女。
うん?...ふ、双海?
何やってんだ?
「双海。どうしたんだ?」
「洋二さんがショック受けているかと思って来ました」
「もう納得したよ。ふて寝したら。現実は浅はかでこんなもんだってね」
「アハハ。そうなんですね」
高校1年生の海の義妹の双海。
俺は笑みを浮かべながら「所で何をしに来たんだ?」と肌寒くぶるっと震えながら聞いてみる。
すると双海はニコッとした。
それから「洋二さん。お姉ちゃんは最低ですね」と笑顔になる。
俺は「!」となる。
「まあそうだな」
「でも私はこれで良かったと思います」
「...それはどういう意味だ?」
「許嫁候補になります。洋二さんを貰いますよ」
「何の冗談だ?」
「...冗談でお姉ちゃんに黙って貴方に会いますかね私が?」
そう言いながら双海は俺を家に押し込めた。
それからニコニコしながら胸板に手を添えて俺を見上げてくる。
っていうか。な、に?
俺は唖然としながら双海を汗を浮かべて見る。
双海は「洋二さんの許嫁が浮気したのなら私がお姉ちゃんの代わりになりますよ」と言ってくる。
それからニヤッとした。
俺はまた汗をかく。
「...待て。何の冗談だ?」
「あれ?これが冗談に聞こえますか?」
「...!?」
「私は真面目に洋二さんが好きですよ。恋人にしたいぐらいに」
「...!!!!?」
そして俺に笑顔を浮かべてから棚を見る双海。
それから「私、3時のおやつ買って来ました」と言う。
赤くなっている俺から退きながらだ。
そうしてから双海は嘲る。
「...洋二さん。お姉ちゃんがこんな最低な浮気したなら私達だってそれなりの関係になっても良いですよね?この理屈は間違っていますか?間違ってませんよね?」
「...間違っては無い。だが」
「大丈夫です。お姉ちゃんにはとやかく言わせませんしそもそもお姉ちゃんが間違っています。だったら私が奪って何の問題も無い」
とんでもない理屈を述べ始めたなこの子。
思いながら俺は目線で双海を見た。
すると双海はコーヒーを淹れる為に沸かしていたお湯を勝手に貰ってから鼻歌交じりに紅茶を作り始めた。
俺はその姿を見ながらため息混じりに「しかしどうしてお前は俺が?」と聞く。
「私は昔から貴方が好きでしたよ。以前からずっと。だけどお姉ちゃんの立場もありお姉ちゃんが居たから貴方にアプローチのしようがまるで無かっただけです。私は貴方が本当に心から好きでした。浮気していると知ってこれ幸いと思って私は早速、この場所に来たんです」
「だけど俺は君に何もしてない。格好良い姿とか見せてないんだが」
「私は...洋二さん。受賞した絵を褒めてくれたしそれで私は相当前から貴方を知っています。それだけで十分だと思いませんか」
「...え?」
「小学校3年生の頃から知っていますよ。洋二さんの事。ああ。良い高学年の男の子だなって思いました。格好良いって思いました」
待て計算が合わない。
何故なら俺が海に出会ったのは小学校5年生の頃だ。
許嫁に設定されたのもその時期。
ならそれ以前に既に双海が俺を知っていた?
いくら義妹でもそんな事有り得るか?
俺は顎に手を添える...いや待てそんなまさか。
思いながら俺は双海を見る。
「アハハ。私の勝ちですよこの勝負は。貴方を想って好いている期間が違い過ぎる」
「...!?」
俺は青ざめながら双海を見る。
そして「その自信もあったからこの場に来たのか」と話した。
すると双海は「そうですね。私なら負けませんよ。お姉ちゃんに。だって洋二さんを好きになっている、知っている、愛している期間が違いますから」とニヤッとした。
その時にやかんが鳴り始めるがその音は気にせずに双海を見ていた。
汗を一筋流しながらだ。
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