新たな始まり
2度目の生?
俺の今世?の記憶の一番初めはまるで炎の中にいるかのような暑さを感じたところから始まった。実際、俺は火事にでもあったのかもしれないが、わからない。第一、もし火事の真ん中にいたら俺は大火傷をしているはずだが、そんな事は全くない。ただの夢なのかと思ったがそうでもない気がする。今では本当のことを確かめる手段はない。なぜなら。
俺には親がいないのだ。育ての親はいるが実の親というのはすでに死んでいるらしい。育ての親には拾ってきたと言われている。奴は確かに親の代わりではあるが、どうにも胡散臭いところがある。
「ただいまー!今日は鹿肉を取ってきたよ」
信用なんてそうそうするようなものでもないだろう。さらには異世界に来たのだから文化は違うに決まっている。なぜそう思うかって?
「お父様、頭に草がついておりますよ」
「おや、本当かい?頭を振って
そう、この人は耳が長く、美麗な顔立ちをしている。どこからどうみてもいわゆるエルフなのだ。それにもかかわらず日本語で話しているのは意味がわからないが、そんなことを論じるわけにもいかない。
「今日はシチューがいいかい?それともステーキがいいかい?」
「ステーキでお願いします、香草は取ってきてありますのでそちらで」
そう。今日は3日に一度彼がくる日だったので、香草を森の群生地まで行き取ってきたのである。日本人の舌にはステーキとシチューぐらいしか合わないのだ……異世界は厳しい……。
「森まで行ってきたのかい?ダメじゃないか、森には魔物がいるんだ。もし襲われたりしたらどうするんだ。香草をとってきたのは偉いが、それとこれは別だね」
「すいません……次からは気をつけます」
「うん。次からは一緒に行くか、自分で自分を守れるようになってからだね」
育てているくせに3日に一度しかいないのは、現代人としてはいかがなものかと思う。だが異世界という認識をした時に文化の違いだと初めて納得したものでもある。3日に一度の贅沢な食事は彼(名前はユリウスと言う) が持ってくるこのような今の俺では手に入らないような食事を持ってきてくれることで食べれる。ならばその食事を存分に楽しむのは日本人として当然だと思うのだ。
「わかりました」
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