第2話
英雄が亡くなってから、6年後、僕は15歳になっていた。
英雄が亡くなったあの日、勇者と聖女、賢者は、この村に残ることを表明した。
その話しを聞いた、騎士たちは慌てふためいたが、魔境と接する村ということもあり、これまで英雄が防いでいた魔物の侵攻を防ぐ責任があると言って、譲らなかった。
そして、その大義名分が認められ、騎士たちを除く、勇者、聖女、賢者がこの村に残った。
住み始めた時は、うしろめたさを感じてか、中々村の中に溶け込めなかったが、ある日の晩に、うちの食堂で食べてる3人に、僕が英雄から聞いた話しを3人にすると、3人は俯き、静かに泣き出した。
一時間後、泣き止んだ3人の眼は、大きくはれ、その顔を見て爆笑した僕を母さんが思いっきりゲンコツしたことはいい思い出です。
その日を境に、3人は積極的に村の中に溶け込もうと活動を開始した。
まず、3人が行ったのは学校作りだった。
学校をつくり、そこで剣術や格闘術、魔法や算術や読み書きなどを教えることを始めた。
もちろん、僕は一期生として学校に通った。他にも村中の子供が通い、さらには大人も仕事のない時は通い、最果ての村は大きく活気付いた。
そのうち、噂が近隣の村や街にも広がり、勇者たちの創った学校の生徒数は少しずつ増えていった。
そして、6年が経った今、村は町へと進化し、学校は「最果ての学校 ベルクカイザー」として大きく成長した。
ちなみにこの「ベルクカイザー」という名前は、英雄の名前からもらったそうだ。
「双剣のベルクカイザー」
勇者たちも知らなかったらしいが、僕が英雄の荷物整理をしていた時に、冒険者のタグが出てきて、そこにランクと名前がついていた。
ベルクカイザー
ランク:S
そして、勇者に見せたところ、また3人は泣いたのだった。
数十分泣いたのち、3人は顔を見合わせ、こう言った。
「「「学校を作ろう!」」」
3人は村のために何ができるかを考えていたらしい。
そして、ベルクカイザーが生前、僕たちに様々な教養を教えていたことを知り、この考えにいたったのだ。
そして、名前は英雄からもらい「ベルクカイザー」と命名。
最果ての学校 ベルクカイザーが誕生した。
6年経った今、村の成長とともにベルクカイザーは成長し、教養が身についた村の大人たちを講師として雇い、ベルクカイザーは、辺境の地における唯一の学校となっていた。
そして、僕ことバーンは、ベルクカイザー一期生として、卒業した。
同期生は11人。
全て最果ての村の子で、全員がベルクカイザーの教えを受けている。
そして、その子供たちはいま、剣術、格闘術、調合術、精霊術、付与術、回復術、攻撃魔法術、錬金術、魔術、弓術のエキスパートととして育てられた。
卒業試験の魔獣狩りを終え、全員がベルクカイザーでの学術および実習の過程を修了したことを認定され、初代学長、勇者シンより、ベルクカイザーの双剣を模した、胸章が贈られた。
卒業式を終え、家に帰ると家族が僕の卒業を祝ってくれた。
ベルクカイザーが息をひきとった宿屋が僕の実家。
あの日から6年が過ぎ、ベルクカイザーから渡された双剣を手に、様々な魔物を狩ってきた。
そして、その経験が僕たちを育て、今の僕たちを作り上げでくれた。
卒業パーティー終了後、自室に戻りベルクカイザーが残したアイテムや話の内容をまとめた本、さらには手記などを眺め、少し目を瞑ると、6年前のあの日のことが昨日のように思い出された。
少しはベルクカイザーに近づけたのかな。
腰の双剣を手に取り、机に置くそして、ベルクカイザーが使っていた時から変わらないその姿を眺めながら、夜が更けていった。
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