第72話 アサシンの避けては通れない道
それからオーク討伐する事2時間程して、ようやくー明鏡止水ー10回成功を達成させた。完璧とは程遠いがコツを掴んでから8割程の成功率で無事に終えることができた。まだオークという失敗しても大して痛くないプレッシャーもない状態でこれだから、ボスのミスれば死という大技に対して完璧にこなすロックスのとんでもなさが身に染みた彩音でもあった。
2時間ぶっ続けでモニターと睨めっこしてたせいもあるが、このクエストを終えてまた一つ大きな息を吐きだした彩音に、美咲からあまり根詰めると良くないから一旦休憩にしようと言われ、後ろ髪を引かれる思いでモニターから離れることにした。
「彩音頑張ったね。」
「まだまだこれからよ、絶対ロッくんを復活させなきゃ!」
美咲は、彩音に今までロックスとどうやってボスとか倒してたかを聞いた。
彩音は、その当時の事を目を輝かせて話していたが、しばらくすると休憩中にもそわそわして落ち着かない彩音に美咲が堪えかねて言う。
「もう!そんなに気になるなら早く次を受領したら?」
「えへへ。」
はやる気持ちを抑え彩音は、特別クエスト報酬を受け取る。
2個目の【不屈の魂(欠片)】を受け取るとそれは一つに重なり2/5となった。
あと三回のクエストで一つになる様だった。
はやる気持ちを落ち着かせて次のクエスト受諾を押した。
『葉隠れの里に行き伝説の忍びを三人倒し天守閣まで到達してください。』
彩音が目を見開いて固まっていた。
「どうしたの彩音?次は何だった?」
美咲がモニターを覗き込みそれを見るとアチャーと声を出した。美咲もギルメンから聞いてその場所を知っていた。そこに所属しているアサシンがクリアできないと嘆いている所らしい。最後の10階まではどうにかたどり着けるが、ラストの白影が厄介なギミック満載で運ゲーすぎるとちょうど話していたという。
そう、そこはアサシンなら避けては通れないアサシン専用ダンジョンなのだ。
彩音もロックスと行った当時を思い出し、一瞬そこでロックスが死んだと思った過去の恐怖を思い出したのだ。それを走破しろというのだから・・・彩音がこうなっても仕方ないという物だ。
「やるしかないんだもんね・・・絶対に・・・」
そういうと彩音は口を一文字に結んでモニターを睨みつける。
その時美咲は彩音の真剣な表情にゴゴゴとオーラを立ち昇らせている様な錯覚を覚えた。
また、彩音はいつしかロックスが俺に後退の二文字は無いと言ってた言葉を思い出し、それを自分の言葉に置き換えていた。
最後の最後まで前へ向かって進み仲間の為道を切り開いた、あの雄姿が今も鮮明に脳裏に焼き付いている。
そして葉隠れの里にやってきた彩音は脇目も振らず古城に飛び込んだ。
自らの操作で来るのは初めてでロックスと行った時の事を思い出しながら彩音は慎重に進んでいく。ようやく少しアサシンらしい動きになってきた。
難なく5階に到達するとそこには見覚えのある赤影がいた。
キッと睨みつけ意を決し突っ込む赤影が反応して切りかかってくるタイミングを見てー暗雲転身ーで構える。見事初撃を受け躱し背後に回り込みズババババと連打をするとやはりというかワンコンボで赤影終了。
そのまますぐに次の階へと駆け上がる。道中はさすがにロックスのスペックなら全く問題ない。ただひたすらに敵を倒しながら上へ上へと駆け上がっていった。
そこにはまた見覚えのある忍者がいた。気が付けば9階まで来ていた。
(確か最初にロッくん地雷設置していたような・・・)
地雷を設置した後、少し前へ出ると黒影がスキルを使ったのかハイド状態で見えなくなった。しかし足元には地雷を置いているので自滅する黒影。吹っ飛んだところをー毒蜘蛛金糸ーで縛り上げたいところだが、まだそこまでは行けずとも追い打ちをかけてあっさりと倒せた。
問題は次だ。ギミック満載の白影を乗り越えられるか・・・
彩音はロックスと来た時の事を思い出していた。
(たしか天井に張り付いたら燭台で、隠れたら掛け軸か絵画・・・)
よし!と彩音は気合を入れて頬をパンと叩く。
オブジェの位置を把握して一歩前へ出ると、白影が颯爽と襲い掛かってきたので、落ち着いてー暗雲転身ーで捌くとズバババババと一気に削る。
すると白影が隠し部屋に引っ込んでいったのを見たので掛け軸へと走りクリックすると運よく掛け軸が来るっと周り中に逃げ込めた。
直後、至る所から炎が噴き出して彩音が元居た所は火の海へと変わった。
無事にギミックから逃れ扉が開いたのでまた白影と向き合い順調に削ると次は天井に張り付いたので燭台の上に飛び乗ろうと急ぐ。が、焦りすぎてうまく乗れない・・・
すると畳から無数の剣や槍が飛び出て来てロックスは敢え無く倒れてしまった・・・
思わず目を背けモニターを見ることができない彩音。
それを見た美咲が操作してロックスを復活地点へと戻す。
「ほら彩音、何が何でもやりとげるんでしょ!」
「うん・・・」
「うちのギルドのメインでアサシンやってる人が行けないって言ってるんだから一発で行けるはずないでしょ。頑張れば彩音なら行けるよ!」
美咲から激励され、気を取り直してまた古城を見据える彩音。
(そうだ、あたしがやらないと・・・)
覚悟を決めまた一歩歩みだす。
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