第12話ロードバイクと新しい森

僕は自転車ショップを探すのは諦めた。夢子さんが行きそうなショップを探すことにした。夢子さんだって きっと スーパーマーケットには行くだろう。だからスーパーマーケットを探そうと思った。スーパーマーケットならどこの街にでもあるだろう。

大通りに戻って 見上げると大学にはキリスト教の大学 らしい 十字架のある建物がいくつもあった。赤いレンガをふんだんに使ったおしゃれな建物は山の裾野から頂上の方に向かっていくつもの層をなしていた。そこには美しい形式があって、大学全体の美しさに統一されていった。金城大学には男子校にはない 女子校独特の柔らかな雰囲気があった。守山区にある金城大学は美しくエレガントな大学だった。僕は大学の前の道路に立ってそれを見ていた。この街は自転車に合っていると思った。森も公園も多く派手でケバケバしい看板もない。住宅地が静かに大学を囲んでいた。森と住宅地に囲まれた大学は新しい街を作り出していた。僕はこの街には自転車が似合うだろうなと思った。音もなく静かに走り抜けていくほっそりとした自転車がこの街には似合いそうだ。ボディも タイヤも一番細い自転車がいいなと思った。ハンドルはストレートなシンプルなやつがいいだろう、スポーティーな女性ならサイクリングバックをハンドルに備え付けたロードバイク もいいかもしれない。僕は 赤いサイクリング用のロードバイクでこの街を走り抜けていく 夢子さんの姿を見たような気がした。

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