第3話 大工になりたい夫、通勤用の車を買うか買わないか(2)
車を買うのが大好きな大工がとても不機嫌な理由を聞いた。
要は、会社から費用補填がないのに好きでもない安い中古車を自腹切って買うのが許せないと。会社に憤っていた。
うんまあわかる。
大工はとても倹約家思考なので「会社に言われて車を買う」ということが許せなかった。
なまじっか車に詳しいので、どうしても「よくない車」は買う気が起きない質なのだ。
1円でも出したくない
という強い意志を感じた。
それから毎日毎日、中古車サイトを見ては手ごろな車を探すようになった。
しかし別の画面では常に新車のロードスターを眺めている。
通勤車が必要になるまで残り1か月を切った。
これなら良さそうという古めのコペンを見つけてきた。
「コペン?」
私はコペンを知らなかった。
大工は目をキラキラさせつつ、でもおびえるように私に説明する。
大工は0~100まで説明しないと気が済まないタイプなのでうっかりするとコペンの成り立ちみたいな歴史を語りだす。
おびえる大工は言う
「ふ、、二人乗りで。。。でも俺しか通勤に使わないから!!」
そりゃそうよ、あなたしか通勤してないんだから。
要は4人家族なのに2人乗りの車を買うことに罪悪感を覚えていた。
さらにビビり倒していた理由は、時を同じくして同僚が好きな車を買いたい話を奥様にすると「そんなの必要あるの?」と一瞬で撃破されるという話を聞いたばかりだったからだ。
そう。否定されるのが怖いのだ。
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