第14話 ヒンヤリ
「歩きだと少し遠いから、バスで向かうか。」
俺は家の近くのバス停に向かう。
「ママ! 今日「あれ」食べたい!」
「分かった。作ってあげる。」
「やったあ!」
「はは。はるとは本当に「あれ」が好きだなぁ。」
新学期初日という事もあり、幸せそうな親子が何組か歩いていた。
春の夕日の色の温かさに引けを取らない、温かい色を放っていた。
「楽しそうだな。 …いいなぁ。」
悴んだ手で温かい飲み物を触った時のように、温かいものに触れ、自身の冷たさを感じた。
だが、悪い気もしなかった。
---バス停到着
「二分後にバス来るな。」
バス停にあるベンチに座り、バスを待つ。
「どさっ」
小学生になったばかりのような小さい男の子が、俺の隣に座った。
目はクリクリとしていて大きく、髪は黒髪でサラサラとしていて、綺麗に整えられていた。
だが、その子の顔はさっきの親子とは真逆の青く、ひんやりとした顔をしていた。
「どうしたんだろ…。まぁ、バス来たから乗るか。」
俺はバスに乗り、一番後ろの端の席に座った。
さっきの男の子は、俺の三つ前の席に座った。
バスの中にある時刻表や停留所が記してある掲示板を見ると、目的地のショッピングモールが終点だという事が分かった。
「十五分くらいで着くのか。せっかくだから景色でも眺めてるか。」
バスの後輪が桜の花びらを舞い上げる中、景色を楽しむ。
---十四分後
「そろそろ着くな。 あ、あの子も行き先同じかな?」
あの男の子もバスの中に残っていることに気づく。
「えー、終点。終点でございます。」
運転手のアナウンスが車内に響く。
しかし、男の子は時間が止まったように固まっていた。
「あれ? あの男の子、全然動かない。」
とりあえず俺はお金を準備し、立ち上がり、精算機に向かう。
「ねぇ。」
男の子が急に話しかけてきた。
「ん、んん?」
「助けて。」
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「孤独人は目を瞑ると逢える君に良い悪戯をしたい」を読んでくださり、ありがとうございます。
私自身、最近バタバタしており、更新ができていませんでした…。 大変申し訳ありません。
第十五話は、ひんやりと冷たい、謎の男の子と行動します。
最新話が掲載され次第、もしよければ読んでみてください。
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