第13話 オベントウ
「そーいえば、明日は何作って持って行くの?」
「確かに、もうそろそろ考えとかないとな。」
俺はスマホで「春 お弁当」で検索した。
すると、彩り豊かなお弁当の写真が沢山出てきた。
「へぇー。こんな綺麗に作るのか。すげぇ。」
「めっちゃ綺麗じゃん! おいしそう〜。」
「ぐぅ〜」
綾のお腹の音が鳴った。
「食いしん坊だな。」
「こんな美味しそうなお弁当見たらお腹減るよ!」
「太っちゃうぞ?」
「ぐりっ」
綾に足の甲を踵で踏まれた。
「いてっ。」
「女の子にそんな事言っちゃダメ! 体重と年齢聞くのは御法度!」
「…鶏そぼろ弁当とかいいかも。」
「ん?」
「ガッツリとした食べ物を持って行くと嫌がられるかもしれないし。」
「どうしたの? お兄ちゃん。」
「ん? 鶏そぼろだとヘルシーだし、上に花の形にくり抜いた野菜とか置きやすいから、見栄えも良くなりそうだなーって。」
「それを足踏まれた時に思いついたと?」
「うん。」
「お兄ちゃんってもしかして変態?」
「鶏そぼろ丼なら重くもなくて優しくて、ヘルシーだから体重気にしてる人でも食べれる。」
「つまり?!」
綾が目を輝かせてこちらを見ている。
「綾みたいな年頃の女の子でも気にせず食べれちゃうって事。」
「作って!」
「でも、鶏肉足りないから買いに行かないとだな。 ちょっと待ってて。」
春の夕方は少し肌寒いため、上着を羽織り、玄関に向かう。
「私も行く!」
「いや、綾は家で休んでていいよ。俺はさっきまで休んでたから全然疲れてないし。」
「…わかった。でも、どこのスーパーに行くの? 場所分かる?」
「スマホで調べれば何とかなるでしょ。」
俺はスマホの地図アプリを開き、「スーパー」で検索した。
すると、近くに幾つかのスーパーと、少し離れた所に大型ショッピングモールがあった。
「ここのショッピングモール行ってみようかな。」
「あ! ここのショッピングモール行ってみたかったんだよね!」
「そうなのか。んじゃ、俺ここで食材買うついでにどんな所なのか見てくるよ。」
ここのショッピングモールに行く事で、食材も買える。下見もできる。そして、この明晰夢の世界での流行りも知ることができる。
まさに一石三鳥ってやつだ。
「んじゃ、いってきます。」
「いってらっしゃーい。」
俺は玄関を開け、綺麗な春茜の中、歩き始める。
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「孤独人は目を瞑ると逢える君に良い悪戯をしたい」を読んでくださり、ありがとうございます。
第十四話は、ショッピングモールに向かっている最中に、ちょっとした出来事に巻き込まれます。
次の話が掲載され次第、もしよければ読んでみてください。
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