第10話 オキヅカイ
「はい! これあげる!」
綾は俺に白いカーディガンをくれた。
「明日雨降るから少し肌寒いだろうなーって。だからこれ着て行って! ぶかぶかの方可愛いかなって思って大きめのやつ買ったから、お兄ちゃんでも着れると思う!」
「ありがとう。今度何か返すよ。」
「別にいいよ! そのカーディガン私が着てたやつだから新品でもないし。そーいえば、明日何食べるの?」
「あ、何も考えてなかったな。連絡してみる。」
「ピロン」
丁度よく堀さんから連絡が来た。
「明日はお互いが作った物を持って行こ。家族に作ってもらうとかは無しね。」
と、メッセージが来た。
「今連絡来たんだけど、お互いが作った物を持って行って食べるみたい。」
「え、お兄ちゃん料理出来たっけ?」
「ある程度は出来るよ。…そーだ、予習として今日の昼飯は俺が作るよ。何食べたい?」
「本当に?! んーと、親子丼!」
「分かった。」
俺は台所へ向かい、冷蔵庫から食材を取り出し、調理を始めた。
---親子丼 完成
「出来たよー。」
テーブルに親子丼を運ぶ。
「うわぁ、美味しそう! いただきます!」
俺も綾の隣に座って親子丼を食べる。
「おいしぃ、お兄ちゃんって、料理…出来たんだ…。」
朝ご飯の時と同様、綾は口いっぱいに食べ物を詰め込みながら喋った。
「良かった。親子丼を作る時は、鶏肉の表面を焼く。卵はときすぎない。卵は二回に分けて入れる。これをやれば美味しく仕上がるんだ。」
「そうなんだ、また、今度…作ってもら…お。」
二人で箸を進める。
---完食
「ふぁ〜。ごちそうさまでした! 美味しかった!」
綾はリビングにある大きめのソファに寝転がった。
「少し眠くなってきた…。ソファ空いてるからお兄ちゃんも休もー。」
「あ、あぁ。でも、俺やる事あるから休んでていいよ。」
俺は嘘をついた。
特にやる事はないが、寝てしまったらこの明晰夢から覚めてしまうかもしれない。
「えぇー。いいからとりあえずこっちに来てよー。」
「…分かったよ。」
俺は綾の方へ行き、ソファの下に座った。
「…すー、すー。」
綾の気持ちよさそうに脱力された顔から寝息が聞こえた。
「げ、もう寝たのかよ。早すぎだろ。…まぁ、初めての場所で疲れたのか。」
窓からは春の暖かい日差し、風が差し込み、カーテンがふわふわと揺れる。
そして目の前には綾の寝顔。
「やば…、流石にちょっと眠くなってきた…。」
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「孤独人は目を瞑ると逢える君に良い悪戯をしたい」を読んでくださり、ありがとうございます。
第十一話は、またまた睡魔と戦います。
次の話が掲載され次第、もしよければ読んでみてください。
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