レグナス戦記―魔王を倒したら実はカミサマだった⁉カミサマに魅入られ左腕に棲み付かれた僕は「代理」で世界征服を目指します!
永礼 経
「覇王」レグナス
第1章「転世(てんぜ)」
第1話 謀反!!
==ショートプロローグ==
ぬううおおおお――!
レグナスは渾身の気合を込めて、その「剣」を横に
空中を斬った、だけである。
横に薙いだ刀身の描いた「弧」が、紫色の光の波となって、前方に押し寄せてゆく。
そしてその「波」に触れた「子供たち」が次々に上下に分断されていく情景が眼前で展開されてゆく――。
その「波」は数メートルにわたって広がってゆき、結局、一人残らず「子供たち」を分断してしまった。
(なんて威力だ――)
******
ミッツ・アケーチ将軍は思案していた。
このまま西国へ援軍に向かい、西国の平定が成ってしまったら、もうだれもあの「マオウ」を止めることは出来なくなるだろう。
後見ショグーン・アッシカーガが頼りないばかりに、代わりに「
彼女はメキメキと頭角を現すと、あっという間にこの世界の中央を纏め上げ、ショグーン・アッシカーガを追放し、自らが天子様の後見として成り上がった。
ミッツ・アケーチ将軍の計画はそこで成るはずだった。
あとは「天子様」の御威光を盛り上げ、世界を平らかにするだけでよかったのだ。
だが、あの女はその計画を踏みにじった。
中央の支配を確立すると、「天子様」を傀儡として脅し押し込め、東国は子飼いのイエヤー・トークガ将軍に抑えさせつつ、西国にサルー・ハッシバ部隊を先行させ、自身もその後を追い西国平定を狙ったのだ。
「ミッツよ、そなたもサルの後を追って西国へ向かえ。
これがオーダ・ノーブナの命令だった。
このまま西国へ向かい、サルーに合流し、ダイロクテンマオウ陛下――オーダはそう呼ばせていた――の到着まで耐えれば、陛下の本軍到着と共に西国は一気に平定されるであろう。
そうなればもう誰も「マオウ」を止めることは出来なくなる。
――今なら、あるいは……。
「マオウ」オーダの本軍はまだ集結していない。今は城塞都市キョートのホンノージ宿に逗留して集結を待っているところだ。
今晩なら、寝首をかけるのでは?
――やるか? やるしかないのか? どうする、オレ?
「サーマ! レグナスを呼んでくれ!」
ミッツは側近のサーマに命じた。
サーマは、何ごとか? とは聞かない。
ただ、静かにうなずくと、馬を部隊の後方へ向けて走らせていった。
――レグナスがやれると言えば、やる。あいつは、無理な時は無理とはっきり言うやつだ。主君の命とは言え出来ないものは出来ないとはっきり言うやつだからな。
数秒後、サーマが一人の剣士を引き連れて戻ってくる。
「将軍、お呼びでしょうか?」
と、その男、レグナスがややめんどくさそうに口上を述べる。
「今から俺が言うことは、仮の話だ、いいな? 仮の話だぞ?」
と、ミッツは念を押す。
「――オーダの首なら、獲れますよ。今ならね……」
とレグナスが答える。
「ば、馬鹿者! まだ何も言っておらんわ!」
と、ミッツは声が上ずった。が、即座に、
「え? ほんと? ほんとに獲れるの?」
と、問い返す。
「たぶん、問題ないですよ。明日じゃだめですね。やるなら今日しかないですが――」
とレグナスは軽く応える。
ミッツは決意した――。
「全体止まれ! 皆よく聞けぇ! 我は天子様の世を実現するためにこれまで心骨を注いできたぁ! それなのにどうだ!? あの「マオウ」は天子様をないがしろにし、自身の欲望のままに世界を戦火で焼き尽くそうとしておる! このままでは天子様が治める世界が消滅してしまうであろう! われはここに決意した! 敵は――」
ホンノージにあり!!
そこからミッツ軍は反転し、一気に城塞都市キョートのホンノージ宿へと駆けた。
それから約一時間後――。
ミッツ・アケーチ将軍の部隊は、ホンノージ宿を包囲した。
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