完璧な旦那

花畑 空間

本編

私の旦那は完璧だ。

稼ぎもいいし顔もかっこよくて毛の濃いたくましい身体に優しい性格、まさに非の打ち所が無い。

こんな私に見合うような人じゃない、と彼氏のスペックを思い浮かべる度に思う。

そんな旦那に見合う妻になるために最近は少しずつではあるけど美意識を高めようとしている。


ピンポーン

「宅急便でーす」

お昼頃、待ち望んでいた物が届く。

その中身は脱毛剤だ。

最近、塗るだけで毛がつるんと取れてしまう物が出たようで購入してみた。

だがしかし、箱を開けると容器は入っておらず、を買ってしまっていたようだ。

こういうところが旦那に見合わない理由なのだろう、ちょっと抜けている。

何か詰め替える容器は無いかと家中探し回ったら、ちょうど使い切っていたボディーソープの容器が出てきた。

これだ!と思った私はすぐに詰め替えた。

詰め替えたと同時に新しいボディーソープを用意しないといけないことに気がついた。

既にもう1個別の種類のボディーソープを買ってあったのだが、使い切ったボディーソープがかなり長持ちしたためどこにしまったか忘れてしまっていた。

ただ、外出する用事があったため探すのを諦めて家を出た。

脱毛剤は今夜試してみようと思って洗面所の方に置いておいた。


家に帰ると、夕食の支度をして旦那の帰りを待つ。

元々出来なかった料理も、旦那のために頑張って日々トレーニング中だ。

私は暇さえあればこんなことを考える。旦那はなぜこんな私を選んだのか。

直接聞いても、毎回「好きだから」しか言わない。そんなことを言う時に出すちょっとした笑顔に私は惹かれた。


「帰ったよ」

落ち着いた声で旦那が私に呼びかける。

ちょうどご飯の完成した頃だ、こういうタイミングで帰ってくるのもまさに完璧だ。

「「いただきます」」

旦那はどんな料理を作っても、どんなに味付けを失敗しても必ず「美味しい」と言ってくれる、こんなんじゃ改善したくてもできない。

夕食を食べ終わり、2人で片付けをした後、私は外出の疲れがどっと押し寄せ、寝てしまった。


「上がったよ、ほら、起きて」

暖かい湯気を感じながら目を覚ます。

そこにはお風呂上がりの旦那がいた。

「大丈夫?ほら、お風呂入っちゃいな」

と手を差し伸べてくる。旦那の手を取り立ち上がると、私はふと思い出した。

「そういえばボディーソープ!見つけてくれたの?」

「ん?置いてあったやつだろ?あれ良いよね」

と、旦那は自分のもじゃもじゃの腕に触れる。

さすが私の旦那だ、何か私が物を無くしてもすぐに見つけてくれる。

私もちゃんとお風呂入って改めて寝よう!

そう思い、洗面所へ向かい服を脱ぐ。

風呂場の扉を開け、まず頭から洗う。

シャンプーがボシュボシュと音を鳴らす。

そろそろ中身が無くなってきた頃だ、これも長く持ったなぁ。

リンスを使って、髪をサラサラに、これもそろそろか。

リンスを流し、ボディーソープに目をやる。

その時に気づいた。

これ、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

完璧な旦那 花畑 空間 @hanabatake_akuma

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ