私の断罪を許して
1話打ち切りの人
第1話 とてもひどい人
あんまり勉強は得意じゃないけど頑張って志望校に合格できた。
高校のみんなとお別れするのは寂しいけど、お母さんも友達も褒めてくれたし今は努力した私を褒めてあげたい。
電車に大きな荷物の地味な女の子。
まばらな他の乗客はこの春田舎から出てきた人だと私をみているのだろうか。
「あの一流企業に勤めてるゆかりちゃんのとこでいっぱい勉強して、いい会社に就職するのよ」
私のお母さんの言葉だ。
ゆかりお姉ちゃん、フルネームは望月ゆかりで東京のすごい会社に勤めているらしい。
私の歳の離れた従姉妹で中学2年の時まで近くに住んでてとても懐いていた。
その後、東京に行ってしまって中々会えなかったが、久々に会えると思うととても楽しみ。
しかも、ゆかりお姉ちゃんのところに下宿させてもらうことになっていて、どんな素敵な日々が待っているのかウキウキする。
残念なことに今日は仕事で遅くなるということだったので、合鍵で先に入っててと言われている。
私のお気に入りのぬいぐるみはもう届いてるかな。
あの子がいないと寝れないから。
東京の電車はすごく複雑だった。
地下鉄もあるし私鉄というのももある。
電車は長いし、線路も2本どころかもっといっぱい並んでる。
並走する電車は怖くて反対側に移動したりした。
そうして迷子になりながら望月の表札の出ているのを確認して11階もあるマンションの11階の部屋の鍵を回す。
あれ……。開かない。
ドアを引くんじゃなくて押すのかな。
でも開かない。
焦りながらもう一回鍵を回したら勢いよく開いてびっくりした。
もう、開けっぱなしで不用心だなあ。
恐る恐る中に入るとなんかすごい派手なブーツが乱雑に脱ぎ捨てられていた。
ゆかりお姉ちゃん趣味変わった?
多分これ似合わないよ?
というか、こんな高いヒールでどうやって歩くんだろう。
廊下にはまたコートが脱ぎ散らかしてあるし、仕事忙しすぎて大変なのかな。
コートをリビングに置いておいてあげよう。
シワになったらダメ出しちゃんとしなきゃね。
そしてリビングのドアを開けた瞬間、私は硬直した。
え、誰?
明らかに知らない人がリビングで倒れている。
しかも何?髪の毛ピンク?人間?
すっごいお酒臭いし、お酒の缶も散乱してる。
とても怖いのですが。
物音に反応したのかそのピンクの悪魔がぬるっと状態を起こした。
私はビクッとしてお土産に持たされたお菓子の袋を落として固まった。
頭の中は真っ白で、目の焦点も合わないし、声も出ない。
ゆか姉、助けて。
「んー?だれえ?あー、望月が言ってたあかりちゃんって君かー。えへへ、かわいいねえ」
ボサついた髪からすごく綺麗な顔が覗かせ、そこから特徴的な高い声で酔っ払いのおっさんの言葉が出てきた。
なんなのこの人。
髪の毛ピンクだけど、大きな目にすらっと通った鼻、美人というのを体現している。
服も派手だけどそれでいて纏まりよくと嫌らしさがなくセンスがいい。
大きなリボンのついたブラウスにハイウエストにした真っ赤なスカート。
暗いブラウンのニーソにもリボンがついている。
笑いかける顔は女の私でもどきっとしてしまう可愛さがある。
髪の毛ピンクだけど。うーん、クレイジー。
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