天使とプレゼント~小悪魔を添えて~(1)
「「春宮さん!?」」
颯馬と湊翔は思わず2度見をせずには居られなかった。
「あなた方って先程夏目さんと一緒に居らした方々ですよね?」
「はい、そうですが。どうしたのですか?」
あまりにも事態が事態で飲み込むことが出来なかったので湊翔の言葉はたどたどしかった。
「実はですねその…夏目さんに日頃のお礼がしたくて、あなた方なら何か夏目さんの好きな物とかご存知かなと思いまして。」
天使モードながら少し緊張したような、なにか動揺しているような桜の姿がそこにはあった。
「夏目の好きなものか?うーん、正直あいつなら何あげても人からもらったものは喜ぶと思うけどな。」
「あっ!颯馬君、千春ちはると冬華とうかさんに相談するのはどうかな?」
思いついたように湊翔は颯馬に言った。
「それはありかもな。なんせあの2人物選びのセンスは抜群だし、俺たちといることもあって優希のことある程度知っているだろうし。ちょっと連絡してみるか。」
そう言うと颯馬は千春と冬華、湊翔が入っているグループにメッセージを送った。
「千春と冬華に聞きたいんだけど、明日以降で空いている日ってある?ちょっと頼みたいことがあって。」
少しして2人とも、
「何時でも空いてるよ~」「言ってくれたら何時でも大丈夫!」
と返事が来た。
「とりあえずあの2人は何時でも大丈夫そうだな。春宮さん、明日以降で都合が良い日ってありますか?」
「火曜と金曜日だと夏目さんに迷惑かけてしまうのでそれ以外だったら大丈夫です。」
「だったら明後日の水曜日に学校終わったら教室で待っててくれませんか?千春と冬華の2人に迎えに行かせるので。」
颯馬はなるべくクラスや学年内で騒ぎにならないように同じ女子である2人で教室に向かわせることにした。
「ありがとうございます。聞いていいのか分からないのですが、秋坂さん、秋戸さんと千春さん、冬華さんってどんな関係何ですか?」
あまりにも自然に女子に相談すると颯馬や湊翔が言ったので桜は少し不思議に思っていたのだ。
「えっとね、僕は千春と、颯馬君は冬華さんと縁があって付き合ってるんです。あの子たちは若干陽キャっぽいですけど根は優しくて面倒見が良いので春宮さんのこと手伝ってくれると思いますよ。」
湊翔は少し顔を赤らめて恥ずかしそうにしながらも彼女たちのことについて語った。
「そう言うことだったんですね。本当にその2人に手伝って貰ってもいいんですか?」
「勿論本人達がいいと言っているのでいいですよ。優希君って普段から人付き合いなんて僕ら4人くらいしかないのでね…話せばいい人だって言うのが分かるんですけどね。過去になにかあったんですかね?でも、春宮さんにも彼のいい所を見つけて貰えて友達として良かったです。」
(そういえば夏目さんってうちのクラスでもほとんど話さないって一時期話題になってたような…それでもきちんと装えばかなり顔もいいしかっこいいって言われてた気がしますね。)
「それじゃ明後日は彼女さん達にお世話になります。よろしくお伝えください。」
「はい、分かりました。それではお気をつけて」
ということで桜は颯馬と湊翔と別れた。
~颯馬、湊翔視点~
「いや~びっくりしたな。まさか春宮さんと出会うなんて。」
さっきまでガッチガチに緊張していた颯馬がようやく緊張から
解放されたようだ。
「でも春宮さんはなんで学校から離れたところにいたのかな?偶然にしては凄すぎる気がするけど、他で見かけてないってことは本当に偶々なのかな。」
湊翔は不思議そうにしていたが確たる証拠がない以上、偶然として割り切るしか無かった。
「それにしてもこれは意外と早くゴールインするかもしれないな。明後日2人には頑張って手伝ってもらおう。ただあの子たち意外と深堀りするというか、興味があるものはずっと追いかけ回すからな…ちょっと心配ではあるけど。」
春宮さんがあの2人のムードに耐えられるか少し不安になった颯馬と湊翔であった。
~桜視点~
「これは明後日が楽しみですね。ただあの2人に教えてもらおうとしただけなのにわざわざそういうことに詳しい人に連絡してくれるなんて、やっぱり夏目君と関わりのある人たちはいい人ばっかりですね。でも私と言ったら……今はやめて置きましょう。」
桜は何かを思ったが、今はその気持ちはしまっておくことにした。
「夏目君はバスで帰ろうとしていたはずですから、私は電車で先回りしてバレないようにしましょう。」
桜は来た電車に乗って1回自分の家に戻ることにした。
家に帰ってから20分も経たないうちに優希から準備が出来たと連絡が入ったので平然を装っていつも通りに過ごした。
(これはバレてなさそうですね。)
桜の先回り戦法は無事成功に終わったのだった。
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